日本新聞協会は,NHKが2009年2月2日から開始した携帯端末向けニュース配信サービスについて,中止するよう求める意見を発表した(発表資料)。

 NHKは,NTTドコモとKDDI,ソフトバンクモバイルの各社が運営する携帯端末向け公式Webサイトの中に「NHK ニュース&スポーツ」とするWebサイトを設け,ニュース配信を行っている。ニュース記事の要約版は無料で閲覧できるが,動画付きのニュースや記事の全文を閲覧するには,NHKの子会社であるNHK情報ネットワークが運営する有料サービスへ登録することが必要になる。

 日本新聞協会は,NHKがNHK情報ネットワークへニュースを提供することが「NHKが本来禁止されている通信社類似の業務」に当たること,受信料を財源として運営する公共放送の公式Webサイトを,関連会社が運営する営利目的の有料Webサイトへの窓口に使うことは問題があることを理由として,同サービスを中止するべきと主張している。また,「総務大臣が認可したNHKのインターネット実施基準では,既放送番組などの提供はNHKのホームページにおいて行うこと」となっており,携帯電話事業者が運営するニュースのWebサイトの中に,NHKがWebサイトを立ち上げるのは実施基準に反すると指摘する。

 日本新聞協会は,既に多くの民間企業が携帯端末向け情報提供サービスを展開しているため,「法的にも収入構造的にも著しく保護されたNHKがこうした分野に無料で参入すれば,民間企業に深刻な打撃を与え,健全な競争市場を混乱させる」と主張している。