NECは2009年1月30日,事業環境の急激な悪化を受け,事業ポートフォリオの見直しや人員削減,外注費削減などから成る経営改革施策を実行することを明らかにした。既に発表済みのNECトーキンやNECエレクトロニクスの構造改革施策と合わせ,グループ全体で2万人以上を2009年度末(2010年3月)までに削減する。

 同社が今回発表した経営改革施策は,(1)事業構造改革(2)収益構造改革――の二つの施策から成る。

 (1)の事業構造改革に関しては,成長が見込める「環境・エネルギ事業」における新規事業の創出や投資を進めつつ,採算が大幅に悪化している液晶関連事業からの撤退となる。

 今後成長が見込める事業分野として,同社代表取締役執行役員社長の矢野薫氏は,自動車用リチウムイオン電池を挙げる。2009年1月27日に発表したNECトーキンの完全子会社化は,そうした施策の一つである。

 一方,液晶関連事業は「ほとんどの関連会社において採算が大幅に悪化しているのが実態」(矢野氏)。今後,構造改革によって黒字化が可能になるかどうかをすべての関連会社について見極め,黒字化が不可能な関連会社に関しては,売却などを検討する。

 また,同じく採算が悪化している半導体事業に関しては「(製品の単純な供給ではなく)ソリューションを要求するユーザーが増えている」(矢野氏)ことから,こうした方面の開発・営業体制を強化していく。

 (2)の収益構造改革に関しては,グループ全体で2万人以上を2010年3月までに削減する。この2万人には,NECトーキンが2009年1月27日に発表した人員削減策の9450人が含まれている。2万人のうち,国内外の比率は4対6,正規社員と非正規社員の比率は5対5となる予定。非正規社員に関しては,ITシステム関連事業の「パートナー企業」も含まれているという。

 加えて,各種経費/調達費/外注費や,役員/管理職の報酬も削減する。