共同宣言に署名した各社の代表取締役社長
共同宣言に署名した各社の代表取締役社長
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東京ガス 代表取締役社長の鳥原氏
東京ガス 代表取締役社長の鳥原氏
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資源エネルギー庁 長官の石田氏
資源エネルギー庁 長官の石田氏
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 東京ガスおよび大阪ガス,東邦ガス,西部ガス,新日本石油,アストモスエネルギーの6社は2009年1月28日,東京都内において家庭用燃料電池システム「エネファーム」の販売開始と普及に向けた共同宣言セレモニーを開催した(発表資料)。この共同宣言は,2009年度から世界で初めてエネファームを販売することに向けた,6社の決意を表明するもの。

 6社はセレモニーの中で,「エネファームで環境立国ニッポンへ」とする共同メッセージを掲げ,「CO2削減に向けて家庭用燃料電池システムの普及に邁進する」と宣言した。この共同メッセージには,エネファームが家庭からのCO2排出量の削減に貢献し,低炭素社会の中心的役割を担うことや,日本が環境立国として世界をリードする存在になることへの願いが込められているという。6社は,2009年に4000~5000台のエネファームを販売し,2030年までには累計で250万台を販売することを目指す。250万台の販売台数が実現すれば,年間で3000万tのCO2排出を削減することが可能という。これは,5600km2の森林が1年間に吸収するCO2の量に当たるとする。

 東京ガス 代表取締役社長の鳥原光憲氏は,「エネファームは,家庭でできる温暖化対策であり,かつ1kg/1人・1日のCO2削減につながる具体策となるシステムであると考えている」と説明した。また,経済産業省 資源エネルギー庁 長官の石田徹氏は,「低炭素社会の実現に向けて,各方面での努力が続いているものの,家庭からのCO2排出量は増加している。家庭からのCO2排出量を削減できるエネファームには,CO2排出量削減の切り札となる技術として期待している」と話した。ただし,現在のコストはユーザにとって負担が大きいため,コスト削減の課題があるとし,「来年から設置者に対して導入費用の1/2(限度額は140万円)の補助金を提供することを計画している」と説明した。

 エネファームは,都市ガスなどから取り出した水素と酸素を反応させて発電する燃料電池と,その際発生する熱を利用する給湯システムを組み合わせたシステム。1次エネルギー利用効率を70~80%程度まで高め,CO2排出量も火力発電と給湯器を使った従来のシステムと比べて,30~40%程度削減できるという。2002年度から国やメーカー,エネルギー事業者による実証研究が進められ,2005年度からは大規模実証実験が行われていた。