UMLでモデリングできる
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モデルの定義とコードの同一性を検証
モデルの定義とコードの同一性を検証
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OMGのRichard Mark Soley氏も登壇した
OMGのRichard Mark Soley氏も登壇した
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 マイクロソフトは2009年1月28日に「Microsoft Tech Days 2009 "Best of PDC"」を開催し,統合開発環境「Visual Studio」の次版となる「Visual Studio 2010」の方向性を明らかにした。大きく三つの強化点がある。(1)次世代プラットフォームへの対応,(2)統合開発環境の進化,(3)アプリケーション・ライフサイクル管理の強化,である。

 (1)はMicrosoft Corp.が提供するクライアントOS「Windows 7」や,クラウド・コンピューティングの実行環境である「Windows Azure」への対応。現行品の「Visual Studio 2008」でもプログラムの作成は可能だが,対応するプログラムの実行環境は「.NET Framework 3.5」となる。Visual Studio 2010では,.NET Framework 4.0に対応する。これに伴い,マルチスレッド・プログラムの実行効率を向上させたり,最新のWindows Presentation Foundation(WPF)対応のGUIコンポーネントを利用できるようになる。

 (2)に関しては,デバッグ履歴およびその再生,並列プログラミング対応のデバッガの搭載,テスト環境の向上などを盛り込む。

 (3)の目玉はUML(unified modeling language)への対応である。これまでVisual Studioでは,独自のDSL(ドメイン特化言語)を使ってモデルを記述する機能を備えていた。しかし独自の表記を覚える必要があるという欠点があった。DSLの考え方は「Oslo」(開発コード名)と呼ぶ,まったく別のデータ・モデリング言語に譲り,Visual Studio本体ではシステムのモデル作成にUMLを使うことにした。単にモデルをUMLの表記に基づいて記述するだけでなく,プログラムとのトレーサビリティや,システムの検証などにも使えるとする。

 これに伴い,UMLの標準化を進める米Object Management Group,Chairman and CEOのRichard Mark Soley氏が登壇し,「ツールの使いやすさに注力してきたマイクロソフトが,OMGが策定する標準に関与することによって,モデル・ベース開発がさらに普及する」と,期待を寄せた。