NECトーキンは,人員削減や拠点の閉鎖を含む事業構造改革を発表した(PDF形式の発表資料1)。角型電池事業とリードスイッチ事業から撤退し,これら事業に関わる国内工場3カ所を閉鎖する。これに伴って従業員を海外で9000人,国内で450人削減する。なお,NECトーキンの従業員数は2008年10月時点で約1万9000人だった。

 NECトーキンは,同社が提供する部品の供給先であるパソコンや携帯電話機,デジタル家電,自動車の市況悪化を受けて,2008年度(2008年4月~2009年3月)の業績予想を同日,下方修正した。連結売上高は前回予想の1140億円に対して943億円(前年度比21.4%減)とし,営業損益は9億円の黒字見込みから83億円の赤字見込み(前年度は5億7500万円の黒字)に修正した。今後も厳しい経営環境が続くとみて同社は,不採算事業からの撤退などの固定費削減策を採る。なお,財務体質の改善を図るため,親会社であるNECから2009年2月20日に第三者割当増資およそ380億円を受けること,その上で株式交換によりNECの完全子会社となることを決定した(PDF形式の発表資料2)。

 NECトーキンの角型電池事業は2006年度通期の全社決算の赤字要因になるなど,業績が低迷していた。2008年3月には海外の携帯電話機メーカー向けからは撤退(Tech-On!関連記事),デジタル・カメラやゲーム機,国内メーカーの携帯電話機向けに事業を継続していたが,今回,全面撤退に踏み切った。同事業の年間売上高は2007年度実績で130億円,従業員は国内190人,海外2250人である。2009年12月までに生産を全て終了する予定。100万個/月の生産規模を持つ栃木事業所では2009年2月までに生産を終えるとした。従業員は,ラミネート型電池事業などへ配置転換を進めていくという。

 リードスイッチ事業は年間売上高が20億円,従業員は国内60人,海外20人である。2009年9月までに生産を終了する計画。国内生産拠点である兵庫事業所はリードスイッチに関しては全量の生産を終了し,電気二重層キャパシタや圧電デバイスの生産は他拠点に移管する。

 シグナルリレーを生産していた岩手事業所も2009年6月までに生産を終了する。同工場で生産していた製品は白石事業所に移管するという。