代表取締役社長兼会長の小野寺正氏
代表取締役社長兼会長の小野寺正氏
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 KDDIの2008年度第3四半期(10月~12月)決算は減収増益だった(PDF形式の発表資料)。連結売上高は前年同期比7.9%減の8823億6500万円,営業利益は同18.5%増の1438億4900万円,純利益は同48.9%増の1028億400万円である。携帯電話機の販売台数が落ち込んだものの,販売奨励金を縮小しているため,利益率は上がっている。

 第3四半期のau端末の販売台数は,前年同期比33.8%減の245万台だった。同社は通期(2008年4月~2009年3月)に1440万台としていた当初計画を見直し,1090万台へ下方修正した。これに伴い,通期の売上高予想を当初の3兆7000億円から3兆5000億円(前年度比2.7%減)へ引き下げる。なお,営業費用も減少するため,利益予想は変更しないという。

 第4四半期(2009年1月~3月)の販売台数は前年同期比で約36%減の290万台程度を見込む。代表取締役社長兼会長の小野寺正氏は「第4四半期はこの業界で最も重要な商戦期。前年は累計3000万契約を目前にして多少,無理(販売奨励金の大幅な積み増しなど)もした。今年は正攻法でいく。魅力的な端末を用意し,auらしさをアピールする」と話す。携帯電話機の国内市場が低迷している状況について小野寺氏は「ユーザーの端末買い替え周期は30カ月以上に延びている。厳しい状況だが,法人向け需要や,メガネやアクセサリのように気分によって持ち換える2台目用途などに活路を見出したい」とした。

 通期の売り上げ予想を下方修正したKDDIだが,設備投資計画は修正しない。2008年度は前年度比14%増の5900億円を投じる計画。第3四半期までの設備投資では,移動体通信向けに投じた3195億円のうち4割以上を,2012年に周波数が再編された後に利用する新800MHz帯関連に充てた。固定通信向けでは7割近くをFTTH向けに投じている。同社の設備投資は「2008年度,2009年度がピーク。新800MHz帯への移行に関する投資はそれで一巡。次世代システムとして採用するLTEに関しては既存の基地局に併設できるので,投資が大幅に増えることはない」(小野寺氏)。

記者の質問に答えるかたちではなく,今回はKDDIがLTE導入に関する資料を用意。ただし,提供時期や周波数帯に関しては「今後検討する」とした。
記者の質問に答えるかたちではなく,今回はKDDIがLTE導入に関する資料を用意。ただし,提供時期や周波数帯に関しては「今後検討する」とした。
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