米Symwave,Inc.は,USB3.0の物理層回路を実装したLSIを試作し,USB 3.0によるデータ伝送デモを披露した(Tech-On!関連記事)。外部記憶装置といった周辺機器に相当する「デバイス」での利用を想定した実演である。パソコンなど送受信の主となる「ホスト」側の基板から,USB 3.0により同社のデバイス側の基板にデータを伝送する。ホスト・コントローラとして米PLDA社の試作基板を採用し,デバイス側はSymwave社が試作した基板を用いた。これにより,相互接続性を確保したとアピールしていた。
HDDへのデータ書き込みを想定し, Serial ATA(SATA)インタフェースでデバイス側の基板とHDDを接続していた(図1)。HDDへのデータ転送速度は約80Mバイト/秒とする(図2)。USB3.0は従来のUSB2.0の10倍以上の速度であるため,「約200~300Mバイト/秒のデータ転送速度になる」(説明員)ものの,用いたHDDのSATAの仕様から約80Mバイト/秒にとどまっているという。USB3.0の物理層LSIと,LSIを用いた実演を公開するのは今回で2度目だが,HDDを使った実演を披露するのは今回が初めてである。ホストとデバイスの通信には,USB 3.0対応の試作ケーブルを利用した。
デバイス側の基板には,物理層LSIとともに,USB3.0のリンク層やプロトコル層などを実装したFPGAやSATAの物理層LSIが搭載されている(図3)。製品化の際には,これらのチップを一つにし,USB3.0-SATAのブリッジLSIにする予定である。2009年第3四半期の製品化を目標に掲げる。「早ければ2009年末にはUSB3.0インタフェースを備えた外付けHDDなどが登場するだろう」(説明員)とみる。