全面タッチ・パネルの先駆者はLG社
─同社デザイナーに聞く─


LG Electronics社は,「iPhone」が登場する前の2007年2月から,画面全体をタッチ・パネルにした携帯電話機「The PRADA Phone by LG」を販売している(左)。右は,LG電子 デザイン経営センター 東京デザイン分所 責任研究員の加賀美淳一氏。

 LG Electronics社では製品デザインの優先度が高い。製品の開発に際しては,デザインが先に決まり,それに合わせて機器を設計することも多い。2006年に発売した携帯電話機「Chocolate」シリーズもそのたぐいだ。チョコレート・バーのようなフラットな筐体表面を実現するために,機械式ボタンの代わりにタッチ・センサを採用した。全画面にタッチ・パネルを採用したスマートフォンとしてiPhoneが注目を集めているが,その分野でも先駆けはLG社だ。いわゆる「PRADAフォン」は,iPhoneより早い2007年2月に発売した。

 タッチ・センサは,我々デザイナーに自由度の向上をもたらす。ディスプレイが大型化するにつれ,携帯電話機の操作部のスペースはどんどん小さくなり,使い勝手に支障を来す可能性が出てくる。この両方を解決するのがタッチ・センサなのである。

 タッチ・センサの採用には難しさもある。PRADAフォンのような全面タッチ・センサになると,デザイン要素が減り,デザインで差異化することが難しくなる。勝負は,ユーザー・インタフェースになる。

 タッチ・センサの機器への搭載は今後ますます増えるだろう。個人的には,普及価格帯のモデルの半分が搭載機になるとみている。(談)

―― 次回へ続く ――