「2009 International CES」のテレビとインターネット関連で，注目を集めていた話題の一つが，テレビ向けウィジェット・ソフトウエアだった（Tech-On!関連記事）。そして，ウィジェット関連の企業以外でも，テレビへの搭載を狙うインターネット企業が動き始めている。
例えば，米eBay Inc.傘下のVoIPサービス大手ルクセンブルグSkype Technologies S.A.。CESのプレス・コンファレンスで同社COOのScott Durschlag氏は「今後ますますテレビがインターネットやビデオ・カメラ，マイクにつながっていく。Skypeによる低価格でビデオ会議を行う機能をテレビに追加することは簡単にできると思う」。ただし，同社は，現時点ではテレビ向け技術の提供開始予定時期を明らかにしていない。
機器メーカー側でSkypeのVoIPサービスをいち早くテレビ関連製品に搭載したいという要望がある場合に向けて，Skype社は，同社からの正式なテレビ向け技術の提供を待たずに，Skypeを導入する手法を明らかにした。Skype社は，同プレス・コンファレンスでMID（mobile internet device）端末向けの「Skype 1.0 Beta for Intel-based Mobile Internet Devices」のソフトウエア・アプリケーションを発表した（発表資料）。同ソフトウエアは，LinuxベースのMID向け「Moblin」ソフトウエア環境で動作する。Skype社はSkypeソフトウエア・クライアントのUIのコードをオープンソースとして公開した。テレビ関連製品がLinuxで動作する場合，機器メーカーがこのコードとSkypeのVoIP機能のソフトウエアなどの技術を組み合わせると，テレビ向けのSkypeソフトウエア・アプリケーションを開発できるとSkype社は言う。
サーバー側APIも公開する
メーカーが既に自社機器向けにインターネット関連ソフトウエアを開発済みの場合に，それらのメーカーと組むことを狙ってインターネット企業がAPIを公開する動きもCESで見えた。例えば，動画配信サービスの米Veoh Networks, Inc.（Veoh社）は，2009年前半に，ユーザーが入力したWebの検索条件に対応した動画をユーザーに推薦する機能を持つWebブラウザのプラグイン「Veoh Video Compass」（試作バージョンのWebサイト）を正式に公開する予定という。
さらに，ユーザーが閲覧したWebページのテキストなどを基に分析した条件から動画を推薦する機能も加える予定である。例えば，ユーザーが欧州の歴史に関するWebページを閲覧した場合には，欧州の歴史に関する動画を推薦する。ユーザーがこれらの動画を選んで，自分のアカウントに登録することもできる。同社は，このサービスに関連するサーバー側APIをメーカーに公開する計画があるという。テレビ製品がVeoh社のサービスを採用することで，例えばユーザーがパソコンから登録した動画をテレビで楽しむといった使い方を提案できる。
また，個人の嗜好やSNS（social networking service）の情報から自動的に仮想チャンネルを作成できるWebサービス「ffwd」を展開する米ffwd社は，テレビや他の機器に向けたAPI（application programming interface）を公開することを発表した（発表資料）。ffwd社によれば，機器メーカーがffwdのAPIを導入すると，機器に録画された動画とインターネットで配信された動画を組み合わせて，ユーザーの好みに合った仮想動画チャンネルを作成できる。
