便利な機能を次々と実現

 このほかにも同社は,積極的にマイコンを利用して様々な付加機能を実現し,製品の市場競争力に磨きをかけている。例えば,リモコンである。当初は単純なオンオフだけだったが,一定の時間後に自動的に消灯するオフ・タイマーや,時計機能を使って決まった時間に点灯させたり消灯させたりできるタイマ-機能を備えたリモコンも製品化した。

図3

図3 人感センサを搭載した最新の照明器具用リモコン(丸善電機の製品)

 最近では,人感センサを搭載し,人が部屋に入ってきたことを感知して自動的に点灯させる機能を備えたリモコンも提供している(図3)。「照明器具本体にセンサを取り付けると,感知できるエリアが固定されてしまいます。リモコンにセンサを組みこめば,消費者の都合に合わせて検知エリアを変えられるので,よりタイムリーに点灯させられるはずです。こうした便利な機能を備えたリモコンは,照明器具本体の特徴以上にお客様の購入意欲を刺激し,買い換え需要を喚起するのではないかと期待しています」(善積社長)。

フィードバック機構で消灯時間調整

図4

図4 マイコンを利用した学習機能を備えた庭園灯

 同社は,門灯や庭園灯など屋外用の照明器具にも,マイコンを利用して様々な工夫を凝らしている(図4)。例えば,周囲の明るさに応じて点灯/消灯を自動的に切り替える機能だ。実は,単純にセンサで周囲の明るさを監視し,それに応じて点灯させたり,消灯させたりすると,この機能は必ずしも正確に動作しない恐れがある。照明器具自身が放つ光で,周囲の明るさの変化を正確に検知できないからだ。例えば,周囲が明るくなったのをセンサで検知して自動的に消灯させようとすると,周囲が暗いにもかかわらず,照明の光によって早いタイミングで明るくなったと判断して消灯してしまう可能性がある。照明器具からセンサ部分を分離すれば,この問題を解決できるかもしれない。だが設置作業は繁雑になる。

 そこで同社は,マイコンを利用して消灯時間を自動調整する学習機能を組みこんだ。最初は,点灯させてから一定の時間後に消灯させる。この後の周囲の明るさをセンサで測定し,まだ周囲が暗かった場合は,消灯のタイミングが早過ぎたと判断して翌日の消灯時間を5分遅らせる。この動作を何日か続けることによって,良いタイミングで消灯させることができるようになるわけだ。しかも,季節に応じた日照時間の変化にも自動的に追従させられる。

 善積社長はLEDを使う次世代の照明では,さらにマイコンの応用範囲が広がると見ている。「例えば,三原色のLEDをマイコンで制御しながら点灯させれば,照明の色を自由に変えることができます」(善積社長)。照明器具におけるマイコンが活躍する場は,これから一段と広がりそうだ。