Dolby
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 「3DのCES」といってもいいぐらい,「2009 International CES」の会場は3Dのデモンストレーションであふれている。各社は家庭を狙って各様の実演を行っている。Dolbyは独自方式で提案している。家庭用3Dシステムの本命はBlu-ray Discの規格団体が2009年3月から検討を開始する「BD・3D」(仮称)とされる。

  パナソニック,ソニー,Philips社が特に熱心に検討している。BDのなかで3Dを実現するのはそれほど難しいことではないという。2層のBDであれば50Gバイトの容量があるから,3D用に左右25Gバイトずつのストリームを収められる。BDにはインタラクティブ機能として「ピクチャーインピクチャー」という同時に二つの映像を見せる技術がある。これを拡張すれば左右の目用の異なる映像を同時に出力できる。これはフルHDの解像度で60フレームのシステムだが,新しいBDプレーヤーと3D対応のディスプレイが必要になる。つまりどちらも新しくしないと楽しめない。

 一方,現行のBDプレーヤーで3Dの世界をつくろうとするのがDolbyだ。CES会場で,現行BDプレーヤー+3Dテレビという組み合わせを提案した。新規のBD・3Dは2チャンネルでフルHD画像を扱うが,現行BDプレーヤーは1チャンネルなので,そこに左右の目用の映像を流すためには,必然的に画素数を落とす必要がある。片目当たりでは,フルHDの半分の画素数になる。この際,単純に間引くと,解像力の甘さが目立ってしまう。そこで画素配置をインタレース的にチェッカー・スタイルにして画素数を落とす。つまり市松模様配置である。そのため感覚的な解像感は,「フルHDの約7割」(説明担当者)としている。テレビの液晶シャッターでも,偏向方式でも,何でも対応できるのが強みという。

  Dolbyは劇場用として,色分割方式の3Dシステムを販売しているが,家庭用は,それとは違う,互換的なやり方で参入するわけだ。現行システムとできるだけ互換性を保つというのは,音声処理におけるドルビー方式のストーリーであり,今回もそれと同様の発想である。果たして普及するか。

Dolbyは別室で3Dのデモンストレーションをしている。