MTI社が新たに開発した小型燃料電池。左がメタノールのカートリッジ。
MTI社が新たに開発した小型燃料電池。左がメタノールのカートリッジ。
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MTI社Vice PresidentのJames Prueitt氏。
MTI社Vice PresidentのJames Prueitt氏。
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 米MTI MicroFuel Cells,Inc.(MTI Micro社) はCES 2009の会場で,本誌のインタビューに応じ,「2009年のクリスマス商戦には,米国内で小型燃料電池を発売する」計画を明らかにした。同社のVice President,Engineering and Operations担当のJames Puett氏に話を聞いた(聞き手は,野澤哲生)。

――MTI社はダイレクト・メタノール方式の燃料電池(DMFC)を開発していると聞くが,開発の最新状況を聞かせてほしい

Puett氏 2008年12月に,重さが250gで手の平に乗る大きさの「Mobion Charger」を開発した。特徴の一つは,メタノールを入れるカートリッジを着脱可能にした点だ。このカートリッジ1個で,25Whの電力量を得られる。これは,一般の携帯電話機用電池の8~16倍の容量に相当する。出力密度は60mW/cm2超である。製品の寿命が来るまでに携帯電話機なら600回以上充電が可能だ。

 出力用インタフェースは,USBかUSB miniで,携帯電話機を含む多くの端末に給電できるようになった。2009年の夏ころまでには,α版,β版などを試作し,2009年のクリスマス商戦に製品化したいと思っている。

――多くの燃料電池メーカーが,燃料のメタノールなどをどう供給していくかで事業が暗礁に乗り上げている。MTI社はそれをどう解決するのか

Puett氏 確かに米国では,航空機の搭乗時にメタノールを持ち込むことに制限がある。こうしたことから,ユーザーにメタノールを直接,電池に注入してもらうのではなく,メタノールが入ったカートリッジをあちこちに用意して,必要な時にそれを使ってもらうという戦略を採っている。カートリッジの製品化と販売には,米国で乾電池大手のDuracell社と提携した。Duracell社の巨大な販売網を利用できるわけだ。

 我々は2006年から「実用化時期は2009年になる}と言って来た。これはぜひ実現したい。2009年が燃料電池の元年になることを願っている。