米University of Southern Californiaは,カーボン・ナノチューブ(CNT)を用いて,キャリア移動度が最大1300cm2/Vsの透明TFTを開発した(発表資料)。CNT構造の密度を高めることで,キャリア移動度の向上を実現した。最大透過率は平均80%である。オン時とオフ時のソース・ドレイン間電流の比は3×104。120℃以下のプロセスで作製できるため,ガラスやPET基板上へのTFT形成が可能という。

 開発したのは,同大学Department of Electrical Engineering Professor のChongwu Zhou氏の研究グループ。作製法としてはまず,CNTを石英基板上で成長させてから,あらかじめITOゲート電極を形成したガラスまたはPET基板上に移す。その後,透明のソース電極やドレイン電極を形成するという。CNTの壁は炭素原子1個程度の厚みがある。

 Chongwu Zhou氏らによると,開発した透明TFTを用いて市販のGaN LEDを駆動したところ,従来の1000倍の光度が得られたとする。

CNTを用いた透明TFTの作製方法
CNTを用いた透明TFTの作製方法
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