呼びかけに振り向く顔型ロボット「スザンヌ」
呼びかけに振り向く顔型ロボット「スザンヌ」
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耳にマイクが装着されている
耳にマイクが装着されている
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目にはカメラが取り付けられている
目にはカメラが取り付けられている
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 会話が飛び交っているような状況でも,名前の呼びかけに応えて振り向いてくれる。このような顔型ロボットを,「セミコン・ジャパン2008」の高等専門学校(高専)特設ブース「The高専@SEMICON」で,熊本電波工業高等専門学校が展示した。ロボットに聴覚機能を持たせることで,人とロボットとの間のコミュニケーションを自然で円滑にすることを目指した研究の成果である。

 動作原理は以下の通り。ロボットの両耳にはマイクが装着されており,ここから音声信号を取り込む。次に,人間の聴覚機能に基づくコンピュータ・モデルを利用して複数方向に音源を分離する。2入力(両耳からの入力)にもかかわらず,3方向以上に音源を分離できるのが特徴である。分離した信号に対してそれぞれ音声認識を行い,特定の単語(名前)を検出する。名前を検出した信号の中から最も確信度の高いものを選び出し,その信号の方向を音源方向(名前を呼びかけた人がいる方向)と推定する。最後に,その方向へ頭部を回転させる。

 さらに,音声認識だけでは音源方向の認識精度が十分とはいえないため,ロボットの両目にカメラを取り付けて,画像認識システムと組み合わせた。カメラで取り込んだ画像から,名前を呼びかけた人の顔を検出し,画像内の顔の位置から頭部を回転させるべき角度を正確に算出する。

 今回の展示では実際に顔型ロボットを持ち込み,「名前を呼ばれるとその方向に顔を向ける」というデモを実施していた。ロボットの名前は当初「モモコ」だった。しかし,展示を始めてすぐに「地元熊本県出身の話題の女性タレントの名前にすべき」という話が持ち上がり,展示会初日の午後から急きょ「スザンヌ」に改名したという一幕もあった。「それまで“モモコ”を検出していたところを,“スザンヌ”で検出するように迅速に改変し,対応した」(制御情報システム工学専攻1年の脇坂龍さん)と言う。

【動画】スザンヌが振り向く模様をビデオでご覧いただけます(制作=BPtv)

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