立体ディスプレイのデモの様子
立体ディスプレイのデモの様子
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 1台のプロジェクタの前にガラス板を1枚置くだけで,立体映像を簡単に楽しむことができる。このようなディスプレイ技術を,「セミコン・ジャパン2008」の高等専門学校(高専)特設ブース「The高専@SEMICON」で,苫小牧工業高等専門学校が展示した。

 立体表示は,両眼視差を使って実現する。ディスプレイの動作原理は以下の通り。まず,プリズムに加工したガラス板をプロジェクタの投射部の前に置き,投射光を2方向に曲げることによって,左目用と右目用の異なる映像をスクリーン上に映し出す。このとき,1/4波長板と偏光板を使って,左目用と右目用の映像を異なる偏光光とする。これを偏光メガネで見ると,立体像を楽しむことができる。

 開発に当たっては,「できるだけ簡単で,安く実現できる方法を追求した」(電子・生産システム工学専攻2年の上元良一さん)と言う。その結果,プロジェクタの内部に手を加えることなく,ガラス板を付加するだけという非常にシンプルな手法に行き着いた。プロジェクタを選ばず,あらゆる製品で実現できることも特徴である。ガラスのプリズムと偏光メガネをプロジェクタの「付属品」にすれば,市販されているプロジェクタが,今すぐ「立体映像も楽しめるプロジェクタ」となる。

 今回の展示では,ビデオ・カメラをプロジェクタにつないで,撮影中の映像の立体像をリアルタイムに見ることができる様子をデモしていた。カメラのレンズの前にもプリズムを付けて,左目用と右目用の映像を撮れるようにしている。きれいな立体像を表示するカギは,ガラスの加工にある。プリズムの角度が少し変わるだけで,立体像の画質は大きく変化するという。ガラスを加工したのも上元さんだ。ガラスを少しずつ削りながら角度などを最適に調整することで,展示に耐えうる立体ディスプレイに仕上げたという。

【動画】説明をビデオでご覧いただけます(制作=BPtv)

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