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 パナソニックと三洋電機は,資本・業務提携契約を締結したと発表した(発表資料)。今後,公開買付けにより,パナソニックによる三洋電機の議決権の過半数となる株式の取得を目指すとしている。

 協業による効果として両社は,(1)ソーラー事業,(2)2次電池事業,(3)経営体質の強化の3点を挙げている。ソーラー事業については、パナソニックの資本などを活用することにより,三洋電機の高効率の太陽電池「HIT」の事業拡大を図るとともに,次世代の太陽電池の開発・実用化を加速するという。さらに,パナソニック・グループの国内外販売網を活用することで,大幅な増販を目指す。

 2次電池事業については,三洋電機の高い生産技術などをパナソニックに導入し,パナソニックからは高容量化に関する技術などを提供することで,両社の商品力をより一層強化する。成長が期待されるハイブリッド自動車や電気自動車用の2次電池に対しては積極的に投資し,パナソニック・グループとして,あらゆる自動車メーカーと連携を強化し拡販を進めていくとした。

 経営体質の強化については,三洋電機がパナソニック・グループとなることで,三洋電機における資材購買などの調達コストの削減や物流関連のコスト削減を見込んでいる。今回の合意を受けて,パナソニックと三洋電機は「コラボレーション委員会」を発足し,子会社化後の協業成果の早期実現に向けて,経営諸制度・技術開発・調達・ロジスティクス・品質管理・ITインフラなどさまざまな項目について検討を開始する。パナソニックは,両社のシナジー発揮に向けて1000億円規模の投資を視野に入れているという。

全株式対象の公開買付け実施

 パナソニックは,三洋電機の全株式(普通株式,A種優先株式およびB種優先株式のすべて)を対象とする公開買付けを実施する予定で,買付価格は三洋電機の普通株式1株当たり131円,A種優先株式およびB種優先株式1株当たり1310円を予定している。

 公開買付けは,三洋電機の発行済株式(自己株式を除く)の過半数を買付け予定数の下限として設定し,応募株券などの総数が当該数に達しない場合には,応募株券などの全部について買付けを行わない予定。応募株券などの総数が当該数以上の場合には,すべてを買付けるとしている。三洋電機の大株主であるオーシャンズ・ホールディングス(ゴールドマン・サックス・グループの関連会社)とエボリューション・インベストメンツ(大和証券エスエムビーシープリンシパル・インベストメンツの完全子会社),三井住友銀行の3社は公開買付けへの応募を前提としており,3社の保有する三洋電機の合算株式数は普通株式に換算した場合に議決権の約70.5%相当にするという。そのため,3社が公開買付けに応募すれば,公開買付けは成立する見込みである。

 なお,パナソニックと三洋電機は,公開買付けが成立した後にも三洋電機の普通株式の上場を維持する方針を両社の共通認識としている。公開買付けの結果により三洋電機の普通株式が上場維持の要件に抵触する場合は,上場廃止を回避するための手段について両社で協議するという。公開買付けについては,可能な限り早期に実施したいとしており,遅くとも2009年2月下旬をメドに進捗状況を公表したいとしている。