公正取引委員会(以下,公取委)は2008年12月18日,任天堂の携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS/同 Lite」向けの液晶モジュールに関して,シャープと日立ディスプレイズに独占禁止法違反があったとして,排除措置命令と課徴金納付命令を下した(PDF形式の発表資料)。公取委は2008年2月,シャープと日立ディスプレイズに対して立ち入り調査を行うなど,この件に関して調査を進めていた(Tech-On!関連記事)。

 ニンテンドーDS向けの液晶モジュールは当初,シャープ1社が納入していたが,2004年に日立ディスプレイズが液晶モジュール納入に向けて任天堂と交渉を始めた。公取委によれば,シャープと日立ディスプレイズは2004年10月以降,液晶モジュールの任天堂向け販売価格について情報を交換。2005年度下期の受注分に関して,任天堂への提示価格が従来価格から100円を超えて下回らないようにするなどの価格協定を結んだとされる。この件で公取委は,シャープに対して2億6107万円の課徴金納付命令を下した。

 さらに,ニンテンドーDS Lite向けの液晶モジュールに関して任天堂から値下げ要求を受けたシャープと日立ディスプレイズは,再び価格情報を交換し協定を結んだ。具体的には2006年9月,シャープが任天堂に提示予定の金額を日立ディスプレイズに伝え,日立ディスプレイズはこのシャープの金額に合わせ,当初予定していた価格を引き上げて任天堂に提示。さらにその提示金額をシャープに伝えていたという。この件で公取委はシャープと日立ディスプレイズに,今後は相互または他の事業者と共同して価格情報を交換したり価格を決めたりしてはならない,などとする排除措置命令を下した。

シャープは審判請求を検討

 この件でシャープは「独占禁止法の違反に該当する行為はなかった」として,審判請求を含めて,今後の対応を検討するとした(発表資料)。日立ディスプレイズは「命令内容を十分に把握したうえで今後の対応を検討する」としている。公取委から排除命令や課徴金納付命令を受けた企業は,処分に不服な場合,取り消しを求めて審判を請求することができる。請求期限は命令から60日以内である。

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