米Gartner, Inc.は,2009年の半導体の世界売上高が対前年比16.3%減の2192億米ドルまで落ち込むとの見通しを発表した(発表資料)。同社は,2008年の半導体売上高が同4.4%減の2619億米ドルとの調査結果を発表しており(Tech-On!の関連記事),この予想が現実となれば2年連続して前年を下回ることになる。Gartner社によれば,2年連続して前年割れとなるのは初めて。

 同社が2008年11月に発表した予測では,半導体の世界売上高は2008年に前年比0.2%の増加,2009年に同2.2%の減少になる見通しだった。しかし,金融危機の発生によって,半導体企業は2008年第4四半期に深刻なダメージを受け,Gartner社は予想を下方修正した。2008年第4四半期の半導体の世界売上高は,直前期比で24.4%減少。この減少幅はITバブルの崩壊で同20%もの減少幅を記録した2001年第2四半期を上回るものという。2001年通年の半導体売上高は前年比で32.5%減少し,過去最高の減少幅を記録している。

 ただし,今回の半導体売上高の減少はITバブル崩壊の時の状況とさまざまな点で異なるという。今回は,技術分野以外にも景気の失速が広がっており,失速前の半導体売上高の伸び率も比較的穏やか。前年比でそれぞれ22%,34%増加した,1999年と2000年の直後のITバブル崩壊とは異なっている。さらに,メーカーが抱える在庫も関連企業を通してしっかり管理されているため,半導体産業の回復は2001年と比べて早いとGartner社は予測する。

 Gartner社が,2009年の半導体産業にとって予測不可能な要素とするのがDRAM。DRAM市況は18カ月連続して悪化しており,メーカーの赤字額は120億米ドルに達しつつあるという。「DRAM市場は供給量の大幅削減か,または弱小メーカーの淘汰は避けられない。しかし,いずれになってもDRAM価格は2009年後半に安定する見通し。これが2009年通年の半導体売上高の減少幅を縮める可能性もある」と説明する。ただし,DRAMメーカーへの広範な政府支援は,この供給の合理化を妨げ,現在の市況低迷を長期化させることもありうるとする。

 2010年に半導体市場は立ち直る見通し。2010年の半導体売上高は対前年比14.6%増の2512億米ドル,2011年は同9.4%増の2749億米ドルと予測する。