ドバイでは多くの高級車を見かける。写真の白いMercedes-Benzに乗っている人は,白い民族衣装を着ている。
ドバイでは多くの高級車を見かける。写真の白いMercedes-Benzに乗っている人は,白い民族衣装を着ている。
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ドバイにある,金のアクセサリーなどを扱う宝石店街「ゴールド・スーク」では,黒い民俗衣装を着た地元の女性と思われる人をよくみかける。
ドバイにある,金のアクセサリーなどを扱う宝石店街「ゴールド・スーク」では,黒い民俗衣装を着た地元の女性と思われる人をよくみかける。
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 ドバイの街を歩いていると,やたらと高級車を目にする。2年ほど前にモスクワを訪ねたときも同じような状況だった。違いは,高級車に乗っている人の服装である。

 そう,ドバイでは高級車に乗っている人の多くが,アラブの民俗衣装(男性は白いカンドーラ,女性は黒いアバヤ)を身にまとった地元の人なのである。

 UAE人は,王族はもちろん,そうでない人もそれなりに金持ちのようである。例えば,2005年のUAEの一人当たりのGDPは3万2000米ドル。日本は3万6000米ドル。この数字だけを見れば日本人の方がちょっと裕福に見えるが,実はUAEの人口の8割以上は海外からの出稼ぎ労働者である。

 つまり,地元の人は,UAEの総人口約400万人のうち,約80万人しかいない。当然,出稼ぎ労働者の賃金はさほど高くないことが多いので,UAE人の一人当たりのGDPは日本をはるかに超えていることになる。

 元JETRO(日本貿易振興機構)のサウジアラビア・リヤド事務所長で,「アラブの大富豪」(新潮新書)の著者である前田高行氏の試算によれば,UAE人の一人当たりのGDPはなんと14万米ドルに達する。しかも,税金,医療費,教育費は「一切なし」である。可処分所得は平均的な日本人の数倍といったところであろうか。

 「一家で25台,液晶テレビを持っているUAE人を知ってるよ」。今日お会いした,ある家電メーカーの幹部はこう言う。「UAE人は各部屋にテレビを置くケースが多いらしく,大きな家だとこのぐらいの台数になってしまうらしいんだ」。まだCRTテレビで我慢している庶民派の筆者にとっては,にわかに信じ難い話であった。

 そんな裕福なUAE人だが,財布の中身と同様,驚くのは大半の人が流暢な英語を操る点である。その理由の一つは,英国がかつて宗主国であったことにあるが,それ以外の要素もある。例えば,ドバイでは,多くの学生を人材育成のために欧米諸国に留学させているという。その際,留学生の生活費や小遣いまでドバイ首長国政府が全額を負担してくれるそうである。

 あ~あ,ため息。