プリペイド・カードの販売員。メキシコでトップの携帯電話事業者Telcel社の制服を着ている。
プリペイド・カードの販売員。メキシコでトップの携帯電話事業者Telcel社の制服を着ている。
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プリペイド・カードを購入している様子。
プリペイド・カードを購入している様子。
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購入した最も安い100ペソ(約690円)のプリペイド・カード。左からの順番にTelcel社のカード,Movistar社(メキシコ市場で第2位),Iusacell社(同第3位)。
購入した最も安い100ペソ(約690円)のプリペイド・カード。左からの順番にTelcel社のカード,Movistar社(メキシコ市場で第2位),Iusacell社(同第3位)。
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 人口1900万人のメキシコシティでは,公共交通機関が未発達であるため,移動にマイカーを利用する人がまだ多い。このため,一日中にどこへ行っても渋滞が起こる。新興国ではよくある話だが,これを利用した「独自」のビジネスが存在する。

 そう,渋滞している車のドライバーを相手に物を売る商売である。商売人たちは,渋滞につかまって暇にしているドライバーに,新聞やお菓子,そしてクリスマス・シーズンの現在では,自動車に飾るクリスマス用装飾品などを販売している。
 
 こうした商売人の中には,携帯電話サービス用のプリペイド・カードを販売している人たちもいる。最近,メキシコでは携帯電話機のユーザー数が急速に増えている。米業界団体の3G Americas, LLCによると,メキシコでは全人口の約7割が携帯電話サービスに加入している。加入者のうち,90%以上がプリペイド・サービスを利用している。だから,こんな需要があるのだ。販売員たちは決して「もぐり」の業者ではなく,きちんと制服を着た正規の業者だ。

 せっかくメキシコシティに来たので,プリペイド・カードを買ってみることにした。それを運転手に伝えると,彼は販売員を見つけてクラクションを鳴らした。すかさず,販売人は窓の所にやってきて注文を取り,取引はわずか30秒で済んだ。

 これならわざわざお店に行かなくてもプリペイド・カードが買える。効率的な商売である。さすがに人口が多い新興国には,色々な商売があると感心した。