ドイツQimonda AGは,米国時間の2008年12月15日に開幕するIEDM 2008で,炭素の同素体を用いた次世代の不揮発性メモリ技術について発表する(講演番号21.4)。同社によれば,「分子のスケールが2~3nmと小さい。メモリの最小単位の寸法が30~40nmより小さくならない相変化メモリ用材料よりも,ずっと高密度なメモリを実現できる可能性がある」という。
炭素には,ダイヤモンド,黒鉛(グラファイト,グラフェン),カーボン・ナノチューブ(CNT),フラーレンなどさまざまな同素体が存在する。これは,炭素原子の外殻の電子の状態の違いに対応している。同電子がsp2混成軌道を取る場合はグラファイトなど,sp3混成軌道を取る場合はダイヤモンド,といった具合である。
Qimonda社はこれらの同素体を電流を流すことで切り替える技術を開発した。具体的には,CNT,黒鉛のような導電性炭素,ダイヤモンドのような絶縁性炭素の3態の間で状態を切り替えられるとする。現時点では研究はまだ初期段階だが,状態の切り替えの応答速度や切り替えの回数は次世代メモリとして十分な可能性を示しているという。