また,モジュール周辺のフィルタ部品を見ることで,2社のモジュールの特徴も見えてきた。FOMAの800MHz帯はワンセグの470M~770MHzと干渉しやすい。このためFOMA向け端末では,ワンセグ向けアンテナの直後に特定の雑音周波数を除去するノッチ・フィルタを入れる。SH906iにおけるシャープ製のモジュール周辺ではノッチ・フィルタを形成する多数の受動部品が見られたが,PED製では見られない(図4)。つまり,シャープ製のモジュールではノッチ・フィルタを内蔵しないが,PED製では内蔵しているようだ。

図4 ノッチ・フィルタでワンセグの感度を向上 ワンセグでは雑音対策がカギを握る。3Gサービス(FOMA)で800MHz帯(830M~840MHz帯)を使うNTTドコモ向けの端末では,各社ともワンセグ向けアンテナの感度向上を狙ってノッチ・フィルタなどを実装している(a)。 こうした対策を取らないと,ワンセグ(470M~770MHz帯)と干渉するためである。SH906iやP906iでも同様の対策が見られた(b,c)。
図4 ノッチ・フィルタでワンセグの感度を向上 ワンセグでは雑音対策がカギを握る。3Gサービス(FOMA)で800MHz帯(830M~840MHz帯)を使うNTTドコモ向けの端末では,各社ともワンセグ向けアンテナの感度向上を狙ってノッチ・フィルタなどを実装している(a)。 こうした対策を取らないと,ワンセグ(470M~770MHz帯)と干渉するためである。SH906iやP906iでも同様の対策が見られた(b,c)。 (画像のクリックで拡大)

スピーカーの配置に工夫あり

 906iシリーズでは,主にワンセグの付加価値の向上のために,スピーカーの配置に工夫を凝らす端末もあった。ワンセグ視聴時に,ディスプレイを縦置きや横置きにする筐体構造を取る端末の場合,置き方によってユーザーに対するスピーカーの位置が変化してしまう。これを防いで常に左右にスピーカーがあるような構造として,音声品質の向上を狙う取り組みである。

 SO906iでは,電磁誘導式のスピーカー3個を三角形の頂点となるように配置し,縦置きと横置きの両方の場合において左右にスピーカーがあるような構成とした。「スピーカーを3個も使うとは…。AVにこだわるソニーらしい設計」(部品メーカーの技術者)という声があった(図5)。


図5 ワンセグのために高品質なスピーカー ワンセグの付加価値を向上するため,スピーカーにコストを掛けて高品質な音声とする工夫が見られた。例えばSO906iでは,通常,2個のスピーカーのところ,3個のスピーカーを搭載していた(a)。3個を三角形の頂点として設置することで,ワンセグの表示画面が縦と横で変わった場合でも,ステレオ音声の品質を一定に保つことを狙う。同様の効果を狙う試みとして,SH906iTVは,10.3mm×14.1mmと大きなスピーカーを2個,対角上に設置している(b)。