遠隔予防医療相談システムの概要
遠隔予防医療相談システムの概要
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 慶応義塾大学は,NECやKDDIと共同で,「遠隔予防医療相談システム」の実証実験を東京都西多摩郡奥多摩町で開始したと発表した(発表資料)。この実証実験は,慶応義塾大学が手掛ける「コ・モビリティ社会の創生プロジェクト」の一環。最先端の情報および通信,移動体の技術を活用して,高齢化が進む地域におけるコミュニティ単位の予防医療を実現することを目指す。

 3社は同実験に向けて,コミュニケーション端末やタッチ・パネル型端末,血液の「サラサラ度合い」を測る血液レオロジー測定装置,携帯電話機,インターネットなどを組み合わせた「遠隔予防医療相談システム」を新たに開発した。このシステムは,実験地域の集会所などに常設したコミュニケーション端末と,都心部のクリニックや健康サポート・センターをネットワークで結ぶ。住民は,血液レオロジー測定装置の測定データをインターネットで都心の医師に送信する。このデータや住民の健康状態をもとに,医師と健康サポート・センターのスタッフは健康相談や助言を行う。医師と定期的に話すことで地域住民の安心感を高め,QOL(quality of life)の向上や自治体の医療費負担の削減につなげるとする。

 実験期間は2008年11月12日~2009年3月31日。実験地域となる西多摩郡奥多摩町は高齢化率が30%以上で,山間部が多く交通事情が良好でない。このため,住民は医療施設の利用に困難を伴っているという。実験に参加するのは,奥多摩町内の21個の自治会の中にある限界集落5地域に住む65歳以上の高齢者を中心とした約100人の希望者。

 同実験において,慶応義塾大学は奥多摩町の13カ所のコミュニティ・センターにおける実証実験の実施,運営の取りまとめ,血液レオロジー測定装置の設置,医療相談などを担う。NECは,コミュニケーション端末の開発および設置や,遠隔予防医療孫段システムを構築し,KDDIはタッチ・パネル型健康管理専用端末の設置や,遠隔健康管理支援のための通信インフラを提供する。

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実証実験の体制
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