三菱化学は2008年12月9日,経営方針説明会を開き,今後の投資に関して白色LEDと自動車用Liイオン2次電池材料の2分野を優先すると発表した。同社は2008年5月に中期経営計画を発表したが(同計画の紹介ページ),直近の経営環境の悪化を受けて,追加施策などをまとめた。

 三菱化学は,当初計画では5900億円としていた2008~2010年度の設備投資規模を4300億円へ引き下げた。研究開発投資も4250億円から4050億円へ修正する。全体の規模だけでなく配分についても見直している。当初計画では「次世代ディスプレイ」や「自動車用ケミカルコンポーネント」「有機太陽電池」など7つの分野を早期事業化するとしていたが(Tech-On!関連記事1),今回さらに,このうち「白色LED」と「HEV(ハイブリッド車)用リチウムイオン電池材料」の2分野に経営資源を集中配分するとした。

2015年にGaN基板市場の独占を目指す

 白色LEDは,GaN(窒化ガリウム)基板や蛍光体といった材料から照明器具や液晶テレビ用バックライトといった応用製品までを含め,2010年に市場規模は1兆円,2015年には3兆円に達すると三菱化学は予測している。GaN基板事業では同社はm面基板を2009年に量産化し,2015年にはc面基板を置き換えて市場独占を目指す(Tech-On!関連記事2同3)。蛍光体事業の販売も計画を上回るペースで推移しているという。

 材料事業に加えて製品事業にも力を入れる。同社は2008年8月から照明用の白色LEDチップを製造・販売している(Tech-On!関連記事4)。2010年には近紫外発光LED市場を創出し,同市場の独占を狙う。

Liイオン2次電池材料は2015年に2007年比でシェア2.5倍へ

 三菱化学では2015年前後にLiイオン2次電池を搭載したHEVの本格普及が始まるとみている。これに伴って,自動車向けLiイオン2次電池の材料市場は2015年に1000億円規模に拡大すると予測した。三菱化学はこの2015年時点で,Liイオン2次電池材料全体で売上高500億円,営業利益率10%以上,市場シェア12.5%とする計画。主要材料である正極材,負極材,セパレータ(Tech-On!関連記事5),電解液を提供し,その組み合わせを電池メーカーに積極的に提案する「電池材料のトータルソリューションプロバイダー」を目指すとした。

Liイオン2次電池材料の市場予測と事業目標(三菱化学の発表資料より)
Liイオン2次電池材料の市場予測と事業目標(三菱化学の発表資料より) (画像のクリックで拡大)