今週のニュース一位は,ニコンのHMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)付きメディアプレーヤー「UP300x」を実際に使ってみて,使用感を報告した記事でした。筆者が衝撃を受けたのは,この記事を担当したU記者ら若手記者2名が,何のためらいもなく通勤電車で利用を試み,あまつさえ写真まで撮ってきたことです(第2回参照)。しばらく前のランキング記事で,筆者は「堂々と胸を張って満員電車に乗り込めるかどうかが(HMDの)普及の分かれ目」などと書きました。その裏に,「きっと誰もが恥ずかしがるから,今回も大ヒットは難しいのでは…」との否定的な見解があったことは否めません。U記者らの行動に,自分の物差しで世界を測ることの限界を目の当たりにした思いです。彼女の世代の人々が同様な価値観を共有しているのならば,新しい市場の扉が今度こそ開くのかも。

 電子機器の市場が成熟する中で,これまでなかったジャンルの製品を生んでいくには,実際に使ったときにどんなに便利か・楽しいかといったことが,ますます重要になってきます。現実に日常生活で利用してみると,得てして事前の想像とは違う結果が出るものです。Tech-On!では,こうした使用感に関する記事も順次提供していきたいと考えています。実は来週公開をメドに,ある話題の携帯電話機のユーザー・インタフェースを,専門家が実際に使ってみて評価した記事を用意しています。この記事の作業をしている際にふと気づいたのが,通話時に携帯電話機を持つ手が,人によってまちまちだということ。右利きならば当然右手だろうと筆者は考えていて,実際自分はそうだったのですが,周りに聞いてみるとどうも様子が違う。右利きでも左手で持つ若手,電話をかける際には右手でボタンを押し,わざわざ左手に持ち替えて話す編集長など,それぞれ作法があるようです。

 これまで私は,携帯電話で通話中にメモが取りにくいことに苦労してきました。右肩と右耳の間に端末を挟み,落とさないように注意しつつ,後から判別しづらい曲がりくねった文字を,紙切れになんとか書き付けたり。これを解決してくれる製品が出たら,ちょっとしたヒットになるだろうと密かに考えていたほどです。今回,ひょんなことから答が見つかりました。左手で持てばよかったんですね。

 ——私は,自分の物差しの当て方から学び直した方がいいんでしょうか。

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