図◎自動車内におけるハンズフリーの携帯電話通話にBluetoothを応用した例(東芝レビュー2008年7月号より)

 東芝は、RF(Radio Frequency)CMOS技術を使って、クルマに搭載できる高感度のBluetooth無線トランシーバLSI「TC31299」を開発した。動作温度は-40~+90℃で、車載デバイスに要求される温度範囲にわたって、高い受信感度を維持する。このLSIとベースバンドLSIを自動車のカー・オーディオ・システムに実装することによって、自動車内でハンズフリーの携帯電話通話や、携帯オーディオ機器からカー・オーディオへ音楽データを転送再生できる(図)。

 東芝が開発したのは、Bluetooth V2.1のEDR(Enhanced Data Rate)規格に対応したLSIである。周波数帯は2.4GHz帯、データ転送速度は最大3Mビット/秒。0.13μmのCMOS技術を使って実現した。従来は、BiCMOS(Bipolar CMOS)技術を使っていたが、CMOSプロセスの微細化に伴い、CMOSだけでBluetoothの無線トランシーバLSIを開発できるようになった。-40~+90℃といった広い温度範囲で高い受信感度を実現したのは、無線トランシーバLSIに集積された低雑音増幅器(LNA)に、「BCS-TC(バイアス電流合成方式による温度補償)」と呼ぶ新たな温度補償技術を開発したからである。

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