欧州で自動車アセスメントを手掛けるEuroNCAPは、12車種の衝突試験の結果と、25車種のシートについて形状やヘッドレストの動きによって後面衝突でのむち打ち症になる危険性を調べた結果を発表した。EuroNCAPは、2009年から衝突試験の新しい評価基準を取り入れることになっているが、今回の結果は従来の基準で評価したもの。

 衝突試験を実施したのは、米Ford社「Ranger」「Fiesta」「Ka」、イタリアFiat社「Alfa Romeo MiTo」、フランスRenault社「Megane」「Dacia Sandero」、フランスPeugeot社「308CC」、ドイツVolkswagen社「Golf VI」、ホンダ「Accord」、ドイツOpel社「Insignia」、ドイツDaimler社「Mercedes-Benz Viano」、スウェーデンVolvo社「XC60」の12車種。

 このうち、MiTo、Fiesta、308CC、Golf VI、Megane、Accord、Insignia、XC60の8車種が成人乗員保護性能において最高評価の五つ星を獲得した。しかし、これらも乳幼児保護性能および歩行者保護性能は最高評価を得られなかった。

【表】12車種の衝突試験結果

モデル 成人乗員保護
(最高:5)
乳幼児保護
(最高:5)
歩行者保護
(最高:4)
Ford Ranger 2 3 2
Alfa Romeo MiTo 5 3 2
Dacia Sandero 3 4 1
Ford Fiesta 5 4 3
Ford Ka 4 3 2
Peugeot 308CC 5 3 2
Renault Megane 5 4 2
VW Golf 5 4 3
Honda Accord 5 4 3
Opel Insignia 5 4 2
Mercedes Benz Viano 4 3 1
Volvo XC60 5 4 2

 Dacia Sanderoは、基本グレードとオプション設定の「safety pack」を装備した車両の2台を試験した。その結果、基本グレードは三つ星だったが、safety pack装備車は四つ星に上がった。EuroNCAPではsafety packを全車標準装備にするべきだとしている。

 ピックアップトラックのRangerは、成人乗員保護性能が二つ星という低い結果になった。前面衝突においてAピラーが壊れてハンドルが大きく運転手側に動いた。エアバッグは膨らみが十分ではなく、頭部がハンドルに当たる。さらに、ブレーキペダルが上昇して運転手の下肢に当たり、ほかのペダルの位置が運転手側に400mm以上動いて足元空間が少なくなったため、左ひざおよび足首などが危険と判断された。構造が崩壊するため胸部保護も弱いという。


Ford Rangerの衝突試験の動画

 シート試験は今回初めて実施した。(続きは次ページへ