無線LANの標準化を進める米IEEE802委員会において,1Gビット/秒を超える超高速無線LANの作業部会「TG ac(タスクグループac)」(IEEE802.11ac)が始動した。2008年11月中旬に米テキサス州ダラスで開催された802委員会の全体会合で,TG acによる標準化の議論が開始された。

 11acは,「VHT(Very High Throughput)」と呼ばれる検討部会から誕生した標準化プロジェクトで,6GHz以下の周波数帯を使い,1Gビット/秒を超えるデータ伝送速度の無線LAN規格策定を目指している。関係者によれば11acは,2011年頃の標準化終了を目指しているという。

ミリ波利用のプロジェクトも

 当初この11acについては,「11ab」という名称にする案もあった。IEEE802委員会の作業部会(タスクグループ)では,アルファベットのA~Zが一巡し,直近では「Task Group aa」が立ち上がっていたためだ(IEEE802委員会のホームページ)。だが,「11ab」という名称の場合,現行の無線LAN規格における「IEEE802.11a/b」(11a規格と11b規格の両方に対応)という名称と混同される恐れがあることから,「11ac」としたという。

11acに関しては,802委員会の過去の標準化プロジェクトの経験に基づいて,議事進行を速やかにするための方策が盛り込まれる予定である。現在,どのようなプロセスで方式策定を進めるか,などの議論も進めているという。

 なおVHTの検討部会にはこのほか,60GHz帯などのミリ波帯を活用する標準化プロジェクトの提案も出ており,こちらは「IEEE802.11ad」という名称で早ければ2009年1月から標準化活動が開始される予定という。