説明会は大阪会場と東京会場を衛星中継して行われた。大阪会場には取締役経理財務担当の上野山実氏が登壇した。
説明会は大阪会場と東京会場を衛星中継して行われた。大阪会場には取締役経理財務担当の上野山実氏が登壇した。
[画像のクリックで拡大表示]

 パナソニックは,2008年度(2008年4月~2009年3月)の業績予想を下方修正した件で(PDF形式の発表資料Tech-On!関連記事1)2008年11月27日,報道関係者や投資家向けに説明会を開いた。「(2008年)10月後半から金融危機の影響が実体経済に広がり,当社の収益も悪化した」(取締役経理財務担当の上野山実氏)と修正の背景を説明した。

 同社の業績は,上期(2008年4月~9月)はほぼ計画通りに推移したが,下期(2008年10月~2009年3月)は売上高で6540億円,営業利益で2480億円,当初計画をそれぞれ下回る見込み。「第2四半期(2008年7月~9月)からカー・エレクトロニクスやFA機器,電子部品などB to B事業は減速していたが下期に入って民生向けでも消費マインドの低下が目立ってきた」(上野山氏)。デジタル家電やカー・エレクトロニクスを扱う「デジタルAVCネットワーク」分野では下期の売り上げ予想を4300億円,営業利益の予想を1500億円,それぞれ下方修正した。

 民生分野の収益悪化に大きく影響を及ぼしたのはテレビ。販売台数は当初計画の年間1100万台に対して「多少は下回るかもしれないが1000万台を割ることはない」(上野山氏)ものの,価格の下落が著しいという。需要が減退してメーカー間の競争が激化していること,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.が為替のウォン安を背景に積極的な価格攻勢に出ていることなどから「当初は薄型テレビの平均販売単価は年間で20%程度低下するとみていたが,30%ほど落ち込みそうだ」(同氏)。このため,「以前から赤字だった液晶パネル事業だけでなく,PDP事業やテレビ事業も下期は収益が厳しくなっている」(同氏)という。

構造改革費用は1550億円

 業績の悪化を受けて,同社は構造改革に踏み切る。既発表のPDP生産拠点の再編(Tech-On!関連記事2)や藤沢工場,岐阜工場の閉鎖のほか,全世界的な生産拠点の見直し,不採算事業の撤退・売却を進める。拠点や事業の整理に伴う人員削減も視野に入れている。一連の構造改革の費用は1550億円になる見込み。この構造改革の効果は2009年度で500億円を見込む。

この記事を英語で読む