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東大生産研,ロール・ツー・ロール印刷技術によるMEMSディスプレイを開発

2008/11/27 15:46
吉澤 恵=日経エレクトロニクス
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 東京大学生産技術研究所は,ロール・ツー・ロール印刷技術によるMEMSディスプレイを開発した(発表資料)。マイクロパターンを印刷形成したプラスチック・フィルムを張り合わせた透過型のフレキシブル・ディスプレイである。ロール・ツー・ロールによって製造することで,1平方メートルあたりの製造コストを数百円程度に抑えられるという。

 このディスプレイは,曲げることができるほか,静電気によって色味を制御できるため,表示内容の書き換えが容易であるという。このため,大きな柱の周りや電車,ビルの窓などに広告として張って,張り替えることなく広告内容を書き換えできる媒体として提供できるとする。

 開発したディスプレイは,厚さ0.2mm程度のプラスチック基板の上に,光学反射膜(厚さ12nmのアルミ)と光学干渉膜(厚さ210〜370nmのSiO2膜)を形成したもの。エアギャップ・スペーサ(厚さ0.6μm)内の空気層を挟んで光学反射膜付きの上部フィルム(厚さ16μm)と張り合わせることで,透過型のカラー・フィルターとして機能するという。光の反射にも利用する金属反射膜を静電駆動用の電極として電圧を印加すると,上部の薄いフィルムがエアギャップ内の空気を押しつぶしながら下部電極方向にたわむ。このとき,ファブリ・ペロ干渉計の原理により,光の波長を決めるための上下の金属反射膜の間隔が変化するため,透過光の色味が変化するという。今回,駆動電圧を印加しないときの透過光は灰色に,駆動時には干渉膜の色(赤,緑,青)が見えるよう,SiO2膜による光学干渉膜の厚みを設計したという。

 液晶ディスプレイが10層程度のパタ―ニングした膜で構成されるのに対し,開発したディスプレイは最小6層で構成できるため,比較的簡単な方法で製造できるとする。印刷機のウェブ幅(紙送り機構の幅)までの大型ディスプレイの製造も対応可能という。

 今後は発色の場所をコントロールするために,アドレシング回路を印刷技術で製作するという。加えて,2枚のシートで形成した空気層の厚さを変えられる本技術は,例えば,光の波長を静電気によって変えることができるという特長を利用することで,紫外線をシャットアウトする電子シェードなどへの応用が期待できるとみる。

 本研究は,産業技術研究助成事業インターナショナル分野の採択研究として,東京大学生産技術研究所とフィンランドの国立技術研究センター(VTT)が共同で行った。

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MEMS技術を用いた大面積フレキシブル・ディスプレイの構造(左)と発色の原理(右)
MEMS技術を用いた大面積フレキシブル・ディスプレイの構造(左)と発色の原理(右)
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