東北大学は,骨再生促進作用に優れた,人工合成の骨補填材「低結晶性リン酸オクタカルシウム(OCP)」の開発に成功した。骨の腫瘍を摘出した後の骨欠損などで骨の移植を必要とする患者への適用が期待される。

 OCPは,生体の骨の無機成分であるヒドロキシアパタイト(Hap)結晶と同様,カルシウムやリン酸,水などから成る結晶で,Hapの前駆体として位置付けられている。人工骨に使う合成のHapと比べて,顆粒状のOCPは高い骨形成能,新生骨との置換能を持つ。実際,動物実験では,低結晶性OCPは従来のOCPより平均約1.7倍の骨形成能を示したという。「OCPを改質し,カルシウムとリンの組成割合をわずかに調節すると同時に,一部をアモルファス化(非結晶質化)した」ことがポイントだ。