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先行するBBCの「iPlayer」から得られるNHKオンデマンドへの教訓

  • 西畑 浩憲=日経ニューメディア
  • 2008/11/25 13:57
  • 1/1ページ

 2008年11月19~21日に,千葉市・幕張メッセで国際放送機器展「InterBEE 2008」が開催された。同展示会の基調講演で英BBCの技術計画を管理するAndy Davy氏が,VOD(ビデオ・オン・デマンド)サービス「iPlayer」への取り組みを解説した。NHKが2008年12月1日に開始する「NHKオンデマンド」(NOD)とは異なる要素が多いiPlayerだが,先行するiPlayerが直面する課題のなかには,VODサービス全般に共通するものが多く含まれている。

 iPlayerはBBCが放送したほとんどの番組を放送後1週間VOD配信するサービスで,2007年12月24日に始まった。受信許可料を財源とした無料サービスで,英国内で配信されている。一方,NODは受信料を財源としない有料サービスで,日本国内で複数のプラットフォームを通じて配信される。

 iPlayerは番組への接触率を高めることを目的にしているため,テレビ受像機以外の既存の機器への対応を積極的に行ってきた。パソコン向けのサービスから始まり,ゲーム機や携帯電話機,IPTVサービス用STB(セットトップボックス)へと対応機器を増やしている。放送を補完するサービスという位置付けである。

 これに対してNODは,放送後の番組という「国民の財産」を国民に還元することを目的としている。そのため「見逃し番組」サービスに加え,iPlayerにはない過去の人気番組を長期間配信する「特選ライブラリー」も提供する。放送に対する付加サービスという位置付けであり,利用者負担の有料サービスになる。またHDTV(ハイビジョン)画質などの品質にもこだわり,主にテレビで見られることを想定している。

 BBCのDavy氏は基調講演で,これまで約1年間サービスを運営した経験からみえてきたVODサービスの課題に触れた。インターネットによる番組配信は放送とは異なり,視聴者数が増えると配信コストがかさむ。この問題を解決するためにiPlayerではP2P(ピア・ツー・ピア)技術を採用し,一定の効果が得られた。しかしP2P技術は通信事業者の負担が大きいことから,今後はCDN(content delivery network)サービスなどを使って提供する方法に切り替えるという。

 コンテンツの保護についても課題がある。一つは,権利処理の関係で英国内に限定しているiPlayerを,海外から視聴しようとする利用者が後を絶たない点だ。BBCはこうした利用者を一方的に閉め出すのではなく,有料チャンネルを運営する関連会社のBBC World Wideと協力して,海外向けにiPlayerを提供する取り組みを開始したという。

 もう一点は,対象機器をパソコンやゲーム機,家電製品へと広げたときに,すべての機器の権利保護を一元管理できるデジタル著作権保護(DRM)技術がないことである。また対応機器が増えるにつれて,それぞれの機器向けに配信データを作り分ける作業が大きな負担になっている。「いずれ業界共通の仕組みが必要になる」(Davy氏)とし,パートナー企業と協力しながらオープンな方法で問題解決に取り組む方針を示した。

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