ユビキタスとイーラボ・エクスペリエンス,東京大学の3者は,農地の土壌状態をリアルタイムにモニタリングするシステムの共同開発に着手する。このシステムは,農地に設置した土壌センサに無線アダプタを接続し,遠隔地にいながらセンサが測定した土壌データをインターネット経由でリアルタイムにモニタリングするというもの。農林水産省の補助事業「平成20年度官民連携新技術研究開発事業」に認定されており,2009年に実証試験とテストマーケティングを実施し,2010年には実用化を目指す。

 このシステムを使えば,農家は作付け前の農地の土壌状態,具体的には土壌の水分や肥料の分布を正確につかむことができ,均一な土作りに役立てられる。さらに,作付け後のデータをリアルタイムでモニタリングすることで,農作物の生育状態に応じたきめ細かな水分管理や施肥管理,防除計画などが可能となり,環境負荷の軽減にも貢献する。

 今回の開発では,ユビキタスがソフトウェアの,イーラボがハードウェアの開発を担当する。東京大学は農地での実証試験を実施し,農作物の生産性や品質を高める効果的センシング方法や検証手段を研究していく。「これからの農業には,食の安全に留意しながら環境負荷を軽減し,意欲/能力のある経営体を育成することが求められている。今回の開発はこうしたニーズに応えるもので,農業分野に最新のITを応用する試みとなる」(東大)。