ドイツInfineon Technologies AGは,同社のRFID用ICの製品群を拡充し,同時に数百枚読み取れるRFID用IC「PJM Light」を開発した(発表資料)。オーストラリアMagellan Technology Pty Ltd.が開発した通信技術「PJM(phase jitter modulation)」(Tech-On!関連記事)を用いたことを特徴とし,1Kビットのメモリや保護データへの無許可のアクセスを防止する機能を備えている。書類管理や,医薬品などを扱うサプライ・チェーンの在庫管理が低コストで実現できるとする。

 PJMは,13.56MHz数帯を利用した通信技術。RFIDの国際規格「ISO/IEC 18000-3 Mode 2」に準拠する。1秒当たり最大1500枚のRFIDタグを読み取れるほか,タグが積重なった状態や4m/秒(毎時15km)で動くコンベヤー上のタグも問題なく読み取れるという。

 今回新たに「PJM Light」として,1Kビットのメモリを内蔵した「SRF 66V01ST」を提供する。従来からの10Kビットのメモリを内蔵した品種の提供も引き続き行うという。いずれも10万回の読み書きが可能で,データの保持期間は最低10年。RFIDは最大100cm離れた場所から操作できるという。

 同時にInfineonとMagellan Technologyは,PJM技術に関するライセンス契約の内容を拡大した。PJM技術を利用したRFID用ICに関するライセンスのほか,このICを利用したRFリーダーに関するライセンスも取得したという。Infineonは,他のメーカーやRFIDシステム・インテグレータにPJM技術のサブライセンスを与える権利も持つ。

 PJM Lightは,2009年初めにサンプル出荷を開始し,2009年第2四半期の量産を予定する。