【SC08】Atomを使うスーパーコンのコンセプト・モデル,SGIが公開
米Silicon Graphics,Inc.(SGI)は,現在開催中の高性能コンピュータ(HPC)に関する国際会議および展示会「Super Computing 2008(SC08)」の展示会場で,奇抜なHPCのコンセプト・モデルを出展した。同モデルの開発コード名は「Project Molecule」。Moleculeは直訳すると「分子」である。狙いは「超高密度,低消費電力,低コストのスーパーコンピュータを,プログラミングが容易な究極のコモディティ・プロセサで作ること」(同社)。このコモディティ・プロセサとは,米Intel Corp.が「MID(mobile internet device)」と呼ぶ携帯端末用に開発したマイクロプロセサ「Atom N330」である。
SGIが出展したのは,高さ約15cm(3U)のラックに相当する筐体の中に,積み木のようなブロックを90個,わずかな隙間を残して敷き詰めたもの。ブロックには5mm角ほどの孔が数個開いており,筐体の後部につけた空冷用ファンの空気が通り抜けられるようになっている。
ブロックは,寸法が5cm角ほどの基板2枚を空冷用の孔をはさんで張り合わせ,樹脂で固めたものから成る。各基板にはマイクロプロセサとデータの経路制御用LSI,およびメモリ用チップを基板の裏表で計8個搭載している。マイクロプロセサには,デュアルコアのAtomを用いる。このAtomは,1.3GHz動作で「x86-64」の命令セットが動作する。メモリの容量は1基板で2Gバイトである。
超高密度という狙いの一つを実現するため,3Uのラック内にはマイクロプロセサ数で180個超,CPUコア数で360個超が詰め込まれている。このAtomの消費電力は約10Wと小さく,これが小さな空冷用の孔を残してブロックを敷き詰められる理由になっている。筐体全体の消費電力は2kW以下であるという。「次に考えている設計では,液冷にしてさらに高密度,例えば1ラックに1万個以上のCPUコアを詰め込む計画」(同社)。
AtomはIntel社がMID用に開発した低消費電力版マイクロプロセサである。Intel社自身が,「Webの閲覧やメール・チェック以外の難しい処理には向いていない」と説明する。この点についてSGIは「我々が重視するのはメモリ用帯域。この点,Atomは決して小さくない」(同社の説明員)と主張する。「このモデルに基づくスーパーコンピュータは,性能面ではメモリ帯域幅が重要な計算用途に特化したものになる」(同社)。
同様なコンセプトとして開発されたスーパーコンピュータとしては,米IBM Corp.の「Blue Gene」がある。Blue Geneは,マイクロプロセサとして,組み込み用の「PowerPC 440」を利用している。SGI自身,類似点があることは認める。ただし「同じとはいえない」(SGI)。最も違うのは,今回はマイクロプロセサのAtomがx86-64という一般的なパソコンやサーバー機向け命令セットを使える点である。
製品化の時期については「現時点ではまだゴーサインが出ていない。ただし,製品化すると決まれば最短で今から15〜18カ月ほどで製品を開発できる」(同社)という。













