STPエンジン+動作合成のメリット NECエレのデータ。
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STPエンジンの基本動作 NECエレのデータ。
STPエンジンの基本動作 NECエレのデータ。
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XBridgeのブロック図 NECエレのデータ。
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STPエンジン搭載LSIの第1弾 NECエレとソニーのデータ。
STPエンジン搭載LSIの第1弾 NECエレとソニーのデータ。
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 NECエレクトロニクスは,8ビットのプロセサを行列状に並べた「STP(Stream Transpose)エンジン」を搭載したASSP(application specific standard product)と,カスタムLSI(ASIC)を発表した(ニュース・リリース)。前者は「XBridge」と名づけて,向こう1年以内に製品として市場に投入する計画である。後者は2007年11月にソニーが発表した業務用ビデオ・カメラなどに搭載されている。

 STPエンジンは,同社の動的再構成可能な(ダイナミック・レコンフィギュラブル・)ハードウェア(プロセサ・アレイ)の「DRP(Dynamic Reconfigurable Processor)」をベースに開発した。DRPに限らず,動的再構成可能なプロセサ・アレイは「面白いアイデア」として注目を集めた時期があった。しかし,実際のチップにどのように適用したら良いかが見い出されず,思ったようには普及していない。

「動的」はあきらめる

 そこでSTPエンジンでは,「動的」の部分を捨てて,「再構成可能」な部分のみを生かすことにした。ある意味,夢を捨てたとも言える。実はFPGA(field programmable gate array)も原理的には,動的に再構成できる。FPGAメーカーも,時々,その点を説明しているが,実際に使われているのは,「再構成可能」な部分だけである。

 夢を捨てる一方で,製品への適用のために,STPエンジンはNECグループ内の動作合成技術と組み合わせることにした。同技術はNECの中央研究所が開発し,現在は,NECシステムテクノロジーのC言語入力のLSI上流設計システム「Cyber WorkBench」に組み込まれている。

FPGAの1/5~1/10の面積

 動作合成技術を開発ツールに取り入れたことで,C言語のアルゴリズムが最適な形でSTPエンジンに自動的に実装されるという。「普通のソフトウェアの開発者が,容易に高性能処理を得られる」ことを狙う。アプリケーションによって変わるが,NECエレによれば,一般的なプロセサ・コアを使う場合に比べて,STPエンジンは1桁~2桁の性能向上が見込めるという。