UTRイベントでSonicMule社のGe Wang氏は,iPhone向けアプリケーション・ソフトウエア「Ocarina」をデモンストレーションした。画面に表示している丸印は,オカリナが備える穴を表したもの。
UTRイベントでSonicMule社のGe Wang氏は,iPhone向けアプリケーション・ソフトウエア「Ocarina」をデモンストレーションした。画面に表示している丸印は,オカリナが備える穴を表したもの。
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SonicMule社が利用している「Chuck」言語の概要
SonicMule社が利用している「Chuck」言語の概要
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DialPlusが通話に追加する情報の例
DialPlusが通話に追加する情報の例
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my6senseを採用した例。アプリケーション内でユーザーがクリックすると,そのまま所望の作業ができるという。
my6senseを採用した例。アプリケーション内でユーザーがクリックすると,そのまま所望の作業ができるという。
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 2008年11月13日,米国シリコンバレー内のマウンテンビュー市において,携帯端末向けアプリケーション・ソフトウエアやサービスを手掛けるベンチャー企業を紹介するイベント「Under the Radar: Mobility(UTR)」(同イベントのWebサイト)が開催された。ベンチャー企業への投資家やIT業界関係者などを前にして,合計33社がプレゼンテーションを行った。その中から注目を集めた発表を以下に紹介する。

iPhoneをオカリナに変身させる米SonicMule社

 UTRで最も「ヒット」にしたのは,米SonicMule, Inc.(同社のWebサイト)が開発した「Ocarina」というiPhone向けアプリケーションのデモだった。Ocarinaは,ユーザーがiPhoneを使い,オカリナという楽器を真似できるアプリケーションである。ユーザーはiPhoneのマイクに向かって口から息を吹きながら,タッチ・スクリーン上に表示したオカリナ同様の四つのボタンを触ることで,音を奏でることができる。音声はiPhoneに備えたスピーカーから出す。インターネットを通して,ユーザーの曲を他のOcarinaユーザーに「生放送」をする機能もある。2008年9月24日から販売されており,価格は0.99米ドル。Ocarinaは2008年11月14日時点で,iPhone用アプリケーションのオンライン店舗「App Store」内の有料アプリケーションのトップ・セラーであった。

 Ocarinaの開発に際してSonicMule社のCTO and Co-FounderであるGe Wang氏は,同社が開発を手掛けた「Chuck」と呼ぶ音声プログラミング言語技術(同技術のWebサイト)を用いた。Ocarinaを含めて,同社は現在四つのiPhoneアプリケーションを開発済みである。

通話に視覚情報を加える米DialPlus社

 UTRでは,米DialPlus, Inc. (同社のWebサイト)のアプリケーション・ソフトウエア「DialPlus」も目を引いた。DialPlusは,ユーザーが通話時に利用する相手側の電話番号に関する情報を,Webページを表示するというもの。

 DialPlusでは,ある電話番号と同電話番号に関連する情報をリンクさせている。例えば,ユーザーが携帯電話機からあるレストランに電話する場合,店員に予約をすると話しながら同レストランのメニュー情報を表示できる。電話番号とともに,ユーザーのSNS(social networking service)のプロファイルから取得した情報を表示する機能もある。

 現在,DialPlusはWindows Mobile対応のアルファ版として公開されている。2008年末までに,米国のある大手携帯電話事業者にてトライアルを始める予定という。

ユーザーにとって重要な情報を吐き出すイスラエルmy6sense社

 イスラエルmy6sense Inc.(同社のWebサイト)は,ユーザーにとって重要とみられる情報を絞り込むWebアプリケーション「my6sense」をUTRで公開した。基本のコンセプトは,ユーザーがmy6senseアプリケーション内において,Webの電子メールやRSSフィード,SNS関連情報などの処理を行うというもの。my6senseではサーバー側でユーザーの行動を分析する。その分析を基に,ユーザーにとって最も重要とみられる情報を搾り出して表示する。

 my6sense社は,独自の自然言語分析技術上に情報をランクするアルゴリズムを使い,my6senseのアプリケーションを開発した。現在,このアプリケーションのアルファ版を公開している。本社はイスラエルに置いているが,my6sense社はまずは米国市場にて事業を展開していく予定という。