図◎実証実験が進むインフラ協調型安全運転支援システム
図◎実証実験が進むインフラ協調型安全運転支援システム
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 2008年は、路車間通信、車車間通信の開発に関する多くのプロジェクトが始動し、全国至るところで通信技術を使ったインフラ協調型の安全運転支援システムの実証実験が進められた。例えば、内閣官房ITS推進協議会が主導する「ITS-Safety 2010」、国土交通省のASV(先進安全自動車)推進検討会の「ASV-4」、日産自動車の「SKYプロジェクト」が挙げられる(図)。これらのプロジェクトは、IT新改革戦略の中で政府が目標として掲げた2010年度の実用化を目指して進められている。

 これまで自動車メーカーは、クルマ単体での安全技術の開発に注力してきた。代表的な例が衝突安全装置であるエアバッグや、急ブレーキ時のタイヤのロックを防止するアンチロック・ブレーキ・システム、コンピュータにより各車輪の回転状況に応じて駆動力を調節して横滑りを防ぐトラクション・コントロール・システムなどである。これらの安全技術は、すでに多くのクルマに採用されている。最近では、衝突直前に車両を減速して衝突時の衝撃を軽減するプリクラッシュ・セーフティ・システムが高級車を中心に搭載され始めている。
 こうした安全技術は、交通事故防止および交通事故死亡者数の低減に大きな役割を果たしてきた。

 しかし、クルマ単体の安全技術には限界もある。交差点での出会い頭の衝突事故や左折・右折時の衝突事故を未然に防ぐことは難しい。政府が掲げる2012年に交通事故による死亡者数5000人以下を実現する一つの手段が、現在、実証実験が進められている路車間通信、車車間通信を使ったインフラ協調型の安全運転支援システムである。

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