米University of South Floridaは,2.2cm2という小面積内に20個の有機太陽電池を直列に並べた超小型モジュールを開発した。MEMSセンサなどの駆動を想定しているという。論文は再生可能エネルギー技術に関する学術雑誌の創刊号に掲載された。

 このモジュールは,寸法が約1mm角の有機薄膜太陽電池(以下,セル)を20個,直列に接続したもの。セルの活性層には,n型半導体材料としてフラーレン誘導体のPCBM,p型半導体材料としてP3HTを用いた。加えて,n型とp型の材料が互いに混ざりあう「バルク・ヘテロ」という構造を採用した。基板にはITOをコートしたガラス基板を利用。有機材料はスピンコートで膜形成した。活性層はセルごとに区切られていないが,正負の電極をセルごとにリソグラフィを用いて形成することで,微小セルを高密度に集積した設計を実現した。

 MEMSセンサなどに向けたオンチップ型太陽電池の開発はこれまでにもSi系太陽電池を使ったものがあった。有機薄膜太陽電池を選んだのは「基板を選ばず,コストが安く,フレキシブルな基板が選べること」(同論文)という。有機薄膜太陽電池はまだSi系に比べて大幅に変換効率が低いが,「単セルの開放電圧の高さはSi系に匹敵する」(同論文)という。

 太陽電池モジュールとしての具体的な性能は,セル20個の場合については非公表で,セル18個の場合に開放電圧7.8V,短絡電流0.0135mA,モジュール変換効率は0.06%と低い。これについて論文では「セルを横に並べた構造で電気抵抗が増えてしまったため」と説明している。ただし,「MEMSの駆動に必要なのは電力自体よりも高い電圧。今回の7.8Vという電圧を確認できたのは収穫」(同論文)としている。