開発した素子を見るZhong Lin Wang氏。(写真:Georgia Tech Photo: Gary Meek)
開発した素子を見るZhong Lin Wang氏。(写真:Georgia Tech Photo: Gary Meek)
[画像のクリックで拡大表示]
素子の拡大写真 (写真:Georgia Tech Photo: Gary Meek)
素子の拡大写真 (写真:Georgia Tech Photo: Gary Meek)
[画像のクリックで拡大表示]

 米Georgia Institute of Technology(Georgia工科大)は,酸化亜鉛(ZnO)のナノワイヤを用いた交流発電する素子「フレキシブル・チャージ・ポンプ」を開発したと発表した。論文は2008年11月9日付けの「Nature Nanotechnology」のAdvanced Online版に掲載された。

 この素子は,環境にある振動によって素子1個で最大45mVの起電力を発生させることができるという。複数の素子を直列につなぐなどすればより高い電圧を確保できる。服や靴,旗などに織り込んでの発電が見込めるほか,体内で血圧の測定などにも利用できる見通しという。

 同素子を開発したのは,ZnOナノワイヤの圧電効果を研究しているGeorgia工科大のProfessor Zhong Lin Wang氏の研究グループ。今回のZnOナノワイヤは,直径3~5μm,長さ200~300μmと,ナノ・サイズだった以前のものより大幅に大きい点が特徴の一つである。

 この素子の作製は以下の通り。まず,温度600℃の中で物理蒸着法によって形成した複数本のZnOナノワイヤを,顕微鏡で見ながらポリイミド・フィルムに張り付ける。次に,ナノワイヤの両端に電極となる銀(Ag)ペーストを塗り,電極ごとポリイミド・フィルムで封止する。

 ZnOナノワイヤには,水分に弱く,機械的な振動に対して磨耗しやすいという課題があった。今回の素子の設計では,これらの課題が大きく改善したという。