オリンパスの2008年度上期(4月~9月)の業績は減収減益だった(PDF形式の発表資料)。売上高は前年同期比2.6%減の5357億9000万円,営業利益は同46.7%減の320億9900万円である。円高が223億円の減収要因になったとする。営業利益は為替差損のほか,買収した英Gyrus Group PLCののれん代の償却(Tech-On!関連記事1)や医療分野の研究開発費の拡大などに影響を受けたという。

 映像事業は売上高が前年同期比14.0%減の1402億8700万円,営業利益が同45.4%減の117億6900万円だった。デジタル・カメラは個人消費の低迷を受けて出荷台数が計画を下回った上に,価格下落で利益率も低下した。上期の出荷台数は前年同期比1%減の525万台で,世界市場シェア(同社推定)は前年同期から2ポイント低下して8%となった。

デジカメは10月~12月期に赤字

 映像事業は下期(2008年10月~2009年3月)に18億円の営業損失を見込む。出荷台数も当初計画の700万台から605万台へと引き下げた。ただし,赤字は10月~12月期に計上するもので,2009年1月~3月期に業績は改善するとしている。業績改善を見込む根拠として,取締役社長の菊川剛氏は「年明けに強烈な新製品を投入する」ことや「(既存の中国工場以上に製造コストの低減が見込める)ベトナム工場の稼働を始める」ことなどを挙げる(Tech-On!関連記事2)。同社は2008年12月にはベトナム工場でコンパクト機向けレンズ鏡枠の生産を始めるという。

オリンパス取締役社長の菊川剛氏
オリンパス取締役社長の菊川剛氏 (画像のクリックで拡大)

 デジタル・カメラ市場の2009年の展望についてオリンパスイメージング代表取締役社長の大久保雅治氏は「急回復するとは考えられない。悪ければ2008年並みになるだろう。日欧米の先進市場に限れば前年割れもありうる」とした。今後の厳しい市況を乗り切るために「当然ながらコスト削減を徹底する。加えてプラットフォーム開発のスピードを上げる」とする。短期的には「この円高が続くようなら,来春には一部製品の価格を調整せざるをえない。価格競争にまともに付き合って販売数量を追うつもりはない」とし,製品の値上げを検討していることを明かした。

 医療事業の上期業績は売上高が前年同期比22.7%増の2064億5000万円,営業利益は同21.7%減の387億5700万円だった。売上高はGyrus社の買収効果や低侵襲医療向けの売り上げが計画を上回ったことで前年実績を上回った。営業利益はGyrus社の統合費用がかさんで前年実績を割り込んだ。Gyrus社の統合状況についてオリンパスメディカルシステムズ代表取締役社長の森嶌治人氏は「まずオリンパス製品をGyrus社が販売するなど販売分野で進めており,開発や製造を含めた完全統合には1年半ほどかかる」とした。

通期の営業益は35%減に

 オリンパスは下期の業績予想を見直し,これに伴って通期(2008年4月~2009年3月)の業績予想を下方修正した。通期の売上高は前回予想から530億円引き下げて1兆550億円(前年度比6.5%減),営業利益は220億円引き下げて730億円(同35.2%減)とした。