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【ファミコンはこうして生まれた】 第8回:ファミコン誕生,家庭用ゲーム機の代名詞に

高野 雅晴
2008/11/20 09:30
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前回示したように,ファミリーコンピュータ(ファミコン)の開発は1982年6月に始まった。上村雅之(敬称略,以下同)が率いる任天堂 製造本部開発第二部が開発を進め,1983年7月に完成にこぎ着ける。十字ボタンを備えるコントローラなど,ファミコンの仕様はその後のゲーム機に多大な影響を及ぼした。十字ボタンは,同社の携帯型ゲーム機のゲーム&ウォッチから受け継いだ。発売当初は伸び悩んだが,1984年に入ってから火がつき,国内だけで現在までに累計1000万台以上を出荷した。ファミコンはまさに家庭用ゲーム機の代名詞になった。 (本記事は,『日経エレクトロニクス』,1995年1月16日号,pp.99-103から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

 ファミリーコンピュータ(ファミコン)本体の仕様検討は1982年10月ころに始まった。このときすでにLSIの仕様はほぼ確定し,機能の検証やソフト開発に使う試作機は出来上がっていた(図1)。さらにソフト開発ツールの準備も進んでいた。


図1 ファミコンの試作機の外観 機能の検証やソフト開発を進めるために作った試作機。CPUと周辺回路を取り込んだモジュールと、画像処理回路モジュールから成る。 (画像のクリックで拡大)

開発ツールは社内で準備

 機能を検証するための試作機はLSIの仕様が確定した時点で,リコーの技術者が回路図を描き,開発第二部のスタッフと共同で製作した。

 組み立てた試作機を使って,1970年代後半に発売した専用LSI搭載型ゲーム機の機能を再現してみた。プログラミングを担当した沢野貴夫(現,情報開発部 情報第一課 課長代理)は「これはいける」という感触を得たという。

 試作機の機能を確認できたところで,直ちにソフト開発ツールの準備に取りかかった。担当したメンバは沢野や大和聡(現,開発第二部 課長代理)など,当時のソフト開発スタッフである。CPUとして選んだ米Rockwell社の6502用ツールは,国内にはなかった。当面は台湾メーカ製のICE(In- circuit emulator)を購入して急場をしのぎ,自前でプログラミング・ツール「NCAP(Nintendo-captureの略)」を開発することにした。 NCAPのホスト・コンピュータはNECのPC-8001だった。野球や麻雀ゲームなど,初期のファミコン・ソフトはこのツールを使って開発された。

 プログラミング・ツールと同時に,画面で動くキャラクタを描くためのツールも作った。発光ダイオード(LED)で作った8×8のドット・マトリク スから成るディジタイザを開発リーダの上村雅之が作成し,ソフト開発スタッフに渡した。ディジタイザは,トレーシング・ペーパに図案を描き,それをドット 画に変換するために使った。当時はまだコンピュータの画面上でゲーム・キャラクタを描くシステムはなかった。

 ディジタイザを使って描いたドット画データをそのままファイルとして出力できるソフトウエアも用意した。ただし,バグが思うように取れず,動作は不完全だったという。沢野が作業をようやく終えようとしたとき,大和が誤って電源を抜き,すべてやり直しになるといったトラブルもしばしば起こった。こう した試行錯誤のなかから,任天堂のソフト開発の管理体制が出来上がっていった。

 1983年春になると,ソフト開発に強力なスタッフが加わった。「6502の生きたマニュアル」と言われた加藤周平(現,開発第三部 係長)である。

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