図6 アンテナは筐体上面の右側に
アンテナはプリント配線基板にパターン印刷で形成してある。筐体上面の左側には,メイン・ボードと上面側の液晶パネルを結ぶ中継基板が取り付けてあった。
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 ニンテンドーDSは,手に持ったときの操作感などを考慮したためか,筐体の厚みがかなりある。このため携帯電話機ほど,薄型部品への要求が強くなかったに違いない。加えて,現行の携帯電話機が利用しているものと同寸法のコネクタを使うと,価格が高いほか,供給不足のリスクを抱え込む。こうしたことから,供給リスクの少ない部品を選択したとみられる。

 コストの低減を優先したとみられる部品はほかにもあった。上部の液晶パネルの右側にあるアンテナである(図6)。高価なセラミックス製アンテナの代替として,プリント配線基板にパターン印刷しただけのシンプルなものだ。メイン・ボードの無線送受信回路とアンテナを結ぶ同軸ケーブルの直径も0.8mmと細い。同軸ケーブルは線径が太いほど信号損失を減らせるため,無線LANなどでは一般的には1.3mm径などの製品が使われている。0.8mm径のケーブルの方が低価格だったとみられる。

Macronix社のマスクROM

 筐体に続いて,ニンテンドーDSに専用のゲーム・カートリッジも開けてみた(図7)。するとそこには「MX23L12808―15D」と刻印された台湾Macronix International Co.,Ltd.製とみられるマスクROMが格納してあった。


図7 専用ゲーム・カートリッジ
台湾Macronix社製とみられるマスクROMを利用。カートリッジの外形寸法は33mm×35mm×4mm。

 ニンテンドーDSのゲーム・カートリッジで利用する半導体メモリに関しては,米Matrix Semiconductor,Inc.の追記型不揮発性メモリ「Matrix 3―D Memory」が採用されるという見方もあった。Matrix 3―D Memoryは,メモリ・セルを多層化することで高密度化を実現する,いわゆる3次元メモリとして期待を集めており,任天堂もMatrix社に出資するなど採用に積極的な姿勢を見せていた。しかし,今回発売したゲーム・カートリッジでは,少なくとも全面採用には至っていないもようだ。