地球温暖化対策事の業拡について説明する同社執行役社長の下村節宏氏
地球温暖化対策事の業拡について説明する同社執行役社長の下村節宏氏
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 三菱電機は,地球温暖化対策事業を拡大し,太陽光発電,ヒートポンプ関連,パワーデバイスの3事業を強化すると発表した。2015年までに同事業で1兆3000億円以上の売り上げを目指すとともに,510万t以上のCO2削減を図る。

 太陽光事業では,2015年に売上高2500億円,年間CO2削減量35万tの目標を掲げる。具体的な強化策としては,2009年12月に同社中津川製作所飯田工場に太陽電池セルの第2工場を新設し,既存の第1工場と合わせて年間600MWの生産能力を確保する。加えて,階調制御型インバータを搭載した変換効率97.5%の100kWパワーコンディショナーの開発を進めており,2年以内に製品化する計画。このほか,大規模発電設備への導入を想定し,変換効率15%の3層タンデム型の薄膜シリコン太陽電池の開発も進めている。製品化の時期は明言しなかったが,「研究開発段階では目標性能に達している。後は量産性などの課題が残っている」(同社)としている。同社は,ハニカム構造などを取り入れた高変換効率の多結晶Si型太陽電池を強みとしているが,製品種類を拡充して幅広い需要に対応する戦略だ。

 ヒートポンプ事業は,事業が好調なことから2009年の売上高目標を5500億円から6100億円に引き上げた。引き上げ分の600億円のうち,国内で150億円,海外で450億円の増分を見込んでいる。特に,給湯システム「Air-to-Water」事業の欧州での早期立ち上げを図り,2012年に200億円の売り上げたいとしている。欧州は環境意識が高いことに加え,これまでのエアコン販売で販売網の整備が進んでいるため,これを活用して事業を早期に軌道に乗せる考えだ。加えて,中国での圧縮機生産体制を拡充するほか,静岡製作所での開発・量産体制も整備するという。これらによって,2015年に8000億円の売上高と,75万tのCO2削減効果を目指す。

 パワーデバイス事業では,省エネを効果を訴求して幅広い機器へのIGBTモジュールやIPM(Intelligent Power Module)の搭載を図る。また,IGBTに続くパワーデバイスとしてSiCモジュールの開発を進めており,2010年の実用化を目指す。エアコンのインバータ化や太陽光発電用のパワーコンディショナー,エレベータなどへの搭載を想定している。同事業における2015年の売上高目標は1500億円,CO2削減目標は400万tである。上記の3事業に加え,ビル設備の監視による省エネルギ化,省エネ家電の展開,自動車部品事業などによって地球温暖化対策事業の売上高目標を達成するという。