質問に答えるNTTドコモ 執行役員 プロダクト部長の永田 清人氏
質問に答えるNTTドコモ 執行役員 プロダクト部長の永田 清人氏
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 NTTドコモは2008年11月5日に開催した2008年冬モデルの発表記者会見(Tech-On!関連記事1Tech-On!関連記事2)の後に,アナリスト向けに質疑応答セッションを設けた。質問に答えたのは,同社執行役員 プロダクト部長の永田 清人氏である。以下,アナリストからの質問と永田氏の回答の要旨をまとめる。

――今回,機種を4シリーズに分類したが,この分類は機種が備える機能や技術的な違いとあまり関連しない形になっている。消費者にとって分かりにくいのではないか。

永田氏 今回はあえて技術的な差異から離れてシリーズを切り分けた。その携帯電話機がどんな基盤技術――「MOAP(L)」か「「MOAP(S)」,あるいは「Windows Mobile」のどれを使っているかは,ユーザーには関係ない。発表会でも話したように,今回の機種開発ではユーザー・インタフェース(UI)を重視した。UIは必ずしもソフトウエアや画面だけではなく,筐体の形やメカニカルな動きなどもUIに含まれる。ユーザーが端末を選ぶメンタリティでシリーズを分けた。ユーザーにその端末がどのように見えるかを重視し,あえて技術的な予見を持たないで商品企画をした。

 新製品が登場してしばらくは新旧のラインナップが混在することになる。発表会で述べたように,店頭に簡単なアンケートを用意してユーザーを誘導し,混乱を緩和することも考えている。いずれにせよ,今回はドコモにとっては大きなチャレンジだ。商品企画の考え方から相当思い切って見直した。

――今回の端末の価格帯は4万~5万円という話だが,以前から話題にしている3万円台の端末をどう考えているのか。逆に「iPhone」対抗のもっと高価格の端末を発売する考えはあるか。

永田氏 3万円台の端末は来年度には出す。期待してほしい。ただし,全くの新規製品ではなく,償却が終わった製品のライフサイクルを延ばすといった形で実現したい。来年度はPDCの巻き取り(サービスの終息をにらんでPDCサービスのユーザーを3Gサービスに移行させること)も視野に入ってくる。そのツールとしても利用できるだろう。iPhoneに関しては「docomo PRO series」の「SH-04A」が対抗機種だと考えているのだが,どうだろうか(笑)。

――一括支払いの購入時に端末価格を割り引く「ダイレクト割」は今回適用されるのか。これに加え,端末の調達単価を今後どうして行きたいのか。戦略を聞きたい。

永田氏 「ダイレクト割」の適用機種はもともと減らしていく方向だった。今回の新製品に関しては当面対象としない。販売状況を見ながら導入を考える可能性はある。

 価格の決定には「商品とは何か」が問題だと思う。機能を詰め込んで「いくらです」と言える時代ではない。ユーザーは商品の魅力に対して手を伸ばすというのが基本。その魅力は機能の積み上げでは決まらないと思っている。とはいえ,端末調達の「平均的な価格」は下げていくのが健全だと考える。価格のバリエーションに関しては今回もいろいろなトライをしているし,今後もしていきたい。

【訂正】記事掲載当初,永田氏の発言中にある機種名の「SH-04A」を誤って掲載していました。お詫びして訂正いたします。現在は既に訂正済みです。