常務取締役の甲斐政志氏
常務取締役の甲斐政志氏
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 アルプス電気は,2008年度4~9月期の決算を発表した(発表資料)。売上高は対前年同期比6.7%減の3317億9900万円,営業利益は同63.9%減の47億5600万円だった。純損益は前年同期の赤字から回復し,8億3000万円の黒字を計上したが,これは前年同期にHDD用磁気ヘッドの生産設備譲渡に伴う減損損失などを計上していたためという。自動車の販売の落ち込みなどを受けて,「電子部品事業」と「音響製品事業」がいずれも振るわず,全社の業績が減収減益に終わった。

 主力の電子部品事業は,売上高が対前年同期比9.7%減の1815億円,営業利益が同75.8%減の11億円。携帯電話機市場の鈍化や世界的な自動車販売の低迷によって,減収減益となった。減収に最も響いたのは,HDD用磁気ヘッド事業の終息による減収だが,次に響いたのは車載電装事業の減収という。車載電装事業の売上高は対前年同期比11.0%減の477億円。同事業は第1四半期に黒字だったものの,第2四半期は赤字に転じ,4~9月期を通すと若干の赤字になったという。北米市場の大型車を中心に自動車の販売台数が激減しており,米国自動車メーカー向けモジュール製品などの売り上げが減った。コンポーネント事業も振るわず,売上高は対前年同期比19.9%減の489億円。携帯電話機向けのスイッチやメモリ・カード用のコネクタ,車載用センサなどの売り上げが減少した。情報通信事業,ペリフェラル事業の売上高は前年同期に比べていずれも減少したが,第1四半期の赤字から第2四半期には黒字に回復したという。

 子会社のアルパインが担う「音響製品事業」の売上高は,対前年同期比5.0%減の1222億円,営業利益は同81.1%減の10億円。音響機器事業でCDプレーヤーなどの主力商品の価格が下落したほか,情報・通信機器事業でカーナビの売り上げが減少したことなどが響いた。

 物流サービスなどを手掛ける「物流・その他事業」の売上高は,対前年同期比7.7%増の280億円,営業利益は同21.0%減の25億円だった。

 2008年度通期の業績予想については,見直しを見送った。「9月末ころからすべての事業の先行きが非常に不透明になった」ことが要因という。下期の売上高は全般的に悪化する方向で,「電子部品事業では,どの分野もおしなべて低調」とみる。特に車載電装事業の落ち込みが大きいと予測する。電子部品事業の第3四半期の売上高は第2四半期を下回る見込みで,赤字になる可能性もあるとする。第4四半期については「まったく見えない状態」と説明した。

 事業環境が厳しくなる中で収益を出す方策に関しては,固定費の削減を加速することや,商品構成を付加価値が高い商品に入れ換える方向へシフトしていくことなどを挙げた。