ダイハツ工業の2008年度中間期(2008年4月~9月)決算は売上高,営業利益,純利益の全てで過去最高を更新した。売上高は前年同期比7.6%増の8808億4000万円,営業利益は同11.3%増の279億1000万円,純利益は同35.6%増の171億3800万円である。自動車の販売台数が国内,海外ともに伸びた。

 国内向け軽自動車の販売台数は前年同期比7.5%増の28万2870台となった。「タント」「ミラ」の好調に加えて,8月に投入した「ムーヴコンテ」が順調な滑り出しで業績に寄与したという。国内軽自動車市場のシェアは,ダイハツの推定では33.4%で,首位を維持したとする。海外向けもインドネシア市場で販売台数を前年同期の1.5倍に拡大するなど好調で,海外向けダイハツ車の販売台数は前年同期比9.1%増の19万5876台となった。

 受託エンジンも前年同期比11.7%増の20万6354基を販売した。ただし,大型ディーゼル・エンジンの販売比率が減り,小型品が増えたため,利益は落ち込んでいるという。

国内軽の市場規模は「190万台割るかも」

 ダイハツは為替の影響や海外市場の減速を踏まえて,通期(2008年4月~2009年3月)の営業利益予想を下方修正した。売上高は前回予想から300億円引き上げて1兆7800億円(前年度比4.5%増)と上方修正したものの,営業利益は50億円引き下げて560億円(同14.1%減)とした。

取締役社長の箕浦輝幸氏
取締役社長の箕浦輝幸氏 (画像のクリックで拡大)

 海外市場は減速著しく,当初予測比で販売台数は3万台ほど下ブレする見込みという。また,同社は前回予想で為替の前提を米ドル100円,ユーロ155円としていたが,ユーロを130円に改めるという。マレーシアやインドネシアの通貨に対しても為替は円高になっており,為替差損が膨らむ見通し。さらに,国内軽自動車市場での首位を磐石なものにするため,低燃費化に向けた研究開発費を積み増すとしており,これも減益要因になっている。

 軽自動車の国内市場を取締役社長の箕浦輝幸氏は「2008年度の市場規模は190万台を割るかもしれない。現状では,軽自動車は需要が読みづらい。(「大型よりは小型」という需要が増すかもしれないという意味で)追い風のようでもあるが『小さいクルマさえ買わない』となる可能性もある」と慎重にみている。