米RealNetworksは米国時間2008年11月3日,DVDコピー・ソフト「RealDVD」の無償トライアル版ユーザーに向けた書簡を公開した。同製品に関する訴訟の影響で,1カ月の試用期限が切れても現時点では製品版にアップグレードできないことを明らかにしたうえで,販売再開が認められた場合には無償アップグレードを提供するとした。

 書簡の中で同社は,販売仮差し止めの影響でユーザーに不便をかけていることを謝罪。個人的使用のためにDVDのコピーを作成するという消費者のフェアユースの権利を保護するために,戦いを続ける決意を表明した。

 RealDVDは,手持ちのDVDのコンテンツをパソコンのハードディスクにコピーできるソフト(関連記事:米RealNetworks社,法的に問題ないと主張するDVDコピーのソフトウエアを発表)。1枚のDVDにつき4~8Gバイトのサイズで保存でき,映像の劣化もない。最大5台のパソコンで再生できるが,他人との共有やネットワークでの配布はできない仕組みを採用している。RealNetworksが9月30日から販売を始めていた。

 同製品を巡っては,DVDの違法コピーを可能にしてしまうものとして,米大手映画会社で構成する業界団体,Motion Picture Association of America(MPAA)が反発。RealNetworksがDVDの著作権保護機能を不正に回避し,米デジタル・ミレニアム著作権法に違反していると主張して,同製品の販売差し止めを求める訴訟を起こした。これに対しReal Networks側も反訴したが,裁判所はその数日後に販売の仮差し止め命令を出した(関連記事:RealNetworks社がDVDをコピーするソフトウエアを発売,関連訴訟も明らかに)。RealNetworksによると,裁判所の正式な判断が下る時期は2009年前半になる見込みという。

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