図1 決算説明をする三菱自動車 代表取締役社長の益子修氏
図1 決算説明をする三菱自動車 代表取締役社長の益子修氏
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 三菱自動車の2008年度上期(4月~9月期)の決算は,コスト削減に努めた効果により減収ながらも増益となった。売上高は前年同期比8%減の1兆2140億円,営業利益は同35%増の254億円だった。円高や原材料費の高騰などが減益要因となったが,豪州工場の閉鎖や,国内販売会社の再編などによる固定費等のコスト削減効果で231億円分の利益を押し上げた。為替による減益分は198億円だった。

 ただし,通期の見通しは下方修正する。2008年4月時点の公表値である売上高予想の2兆6500億円を,2900億円引き下げて2兆3600億円とする。営業利益予想額の600億円は,100億円引き下げて500億円とする。下方修正する理由として,米国に端を発した金融不安による消費者の購買意欲の低下に加え,円高に伴う為替の影響を挙げた。2008年下期における為替レートの想定は,1米ドル95円(従来は100円),1ユーロ125円(従来は155円)とする。

 グローバルの販売台数は,前年同期比13%減の60万2000台だった。地域別にみると,日本では同17%減の8万3000台となった。国内における販売台数の減少傾向は「構造的な要因」(三菱自動車)であり,販売会社の再編などをさらに進めることで利益の確保に努める方針だ。米国では,前年同期比22%減の7万1000台だった。米国経済が不安定で,消費者の購入意欲が大きく低下していることが原因。欧州では前年とほぼ変わらず16万8000台となった。ロシアやウクライナにおける販売は前年に対して1万9000台増の8万9000台となり,西欧諸国の販売台数の落ち込みを補った。アジアや中南米などの地域では,前年同期比15%減の28万台となった。特に中国の販売台数の落ち込みが響いた格好だ。

 この会見に際して同社 代表取締役社長の益子修氏は,「今は必要な対策を慎重に打ちながら耐える時期」とした。「米国の金融危機に端を発した世界経済の悪化により,為替や政治,資源,原油など自動車事業に大きな影響を与える要因は全て不安定な状況となっている。このため,今年策定した中期経営計画に関しても,現時点では,見直すかどうか適切な判断を下せる状況ではない。2008年12月には米国や欧州企業の決算が出揃い,その頃には少し安定に向かうだろう。(経営計画の見直しなどの)判断はそこからだ」と述べた。

 また,ロシアやウクライナといった最近の同社の黒字化を支えてきた地域については,「2008年度下期はもう少し伸びるが,来年度には需要の調整局面に入るだろう」(益子氏)という厳しい見通しを示した。