図1 パナソニック 代表取締役社長の大坪文雄氏。
図1 パナソニック 代表取締役社長の大坪文雄氏。
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図2 前年度と比べた製品別売上高の差分。
図2 前年度と比べた製品別売上高の差分。
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図3 地域別の売上高。
図3 地域別の売上高。
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図4 売上高および営業利益における各セグメントの構成比。前年度同期と比べて,アプライアンス部門が増加しているという。
図4 売上高および営業利益における各セグメントの構成比。前年度同期と比べて,アプライアンス部門が増加しているという。
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 パナソニックは2008年度中間期(2008年4~9月)の決算を発表した(発表資料)。売上高は前年同期比4%減の4兆3437億円,営業利益は同4%増の2282億円となり,7年連続の増益を達成した。2007年8月に連結子会社でなくなった日本ビクターの売上高分と為替の影響を除いた実質ベースでは,売上高は同4%増に相当するとしている。増益の要因として,(1)オリンピック商戦が順調に推移し,薄型テレビの販売台数が同55%増の488万台と伸びたこと,(2)BRICsおよびベトナムで家電などの販売額(現地通貨ベース)が同25%増と伸びたこと,(3)原料高騰に対して原価低減策を進めていること,を挙げる。

 セグメント別には以下の通り。プラズマ・テレビなどのAV機器を扱う「デジタルAVCネットワーク」部門の売上高は前年同期比2%増の2兆1029億円,営業利益は同7%減の1028億円だった。特に好調だったのは薄型テレビで,欧州やアジア・中国を中心に伸張し,全世界での販売金額は同31%増の5172億円となった。一方,減速感が見えるのがデジタル・カメラである。欧州での販売金額は同4%減の545億円となり,全世界でも同2%増の1277億円にとどまった。今後,レンズ交換式のデジタル・カメラ「LUMIX DMC-G1」などで販売拡大を狙うとする。減益については,AV機器の価格低下や車載機器の需要低迷の影響があったとする。

 セグメントで唯一,増収増益となったのが白物家電などを手掛ける「アプライアンス」部門である。売上高は前年同期比3%増の6855億円,営業利益は同26%増の469億円だった。中国で洗濯機の販売金額が前年に比べて1.2倍になるなど,アジアや中国が好調だったとする。エアコンと冷蔵庫,洗濯機の合計販売金額は,アジアが同7%増の611億円,中国が同8%増の567億円である。

 半導体などの「デバイス」部門の売上高は前年同期比6%減の6702億円,営業利益は同1%減の490億円だった。半導体の売上高が前年を上回るも,北米の自動車減産や国内携帯電話機市場の縮小の影響を受け,一般電子部品や電池などの売上高が伸びなかったとする。

 なお,「電工・パナホーム」部門の売上高は前年同期比1%減の9287億円,営業利益は同13%減の358億円,「そのほか」部門の売上高は同10%増の5986億円,営業利益は同18%減の288億円だった。2008年7月以降,工場における設備投資が減少しており,FA機器事業の売上高が同11%減の1120億円,営業利益が30%減の153億円と落ち込んだことが影響している。

 2008年度通期(2008年4月~2009年3月)の業績について,経営計画を立て直すには数日単位での為替変動が大き過ぎるとして,今回は前回予想を据え置いた。今は「年末商戦の動きを見極める方が大切」(パナソニック 代表取締役社長の大坪文雄氏)として,第3四半期の段階で通年の業績予想について見直すとする。ただし,同社では「下期の環境は厳しい」(大坪氏)と予測しており,これを機に2009年度以降に備えた構造改革を進めるとする。具体的には,(1)既に計画通りの設備投資を行うと発表している薄型テレビや電池といった分野以外での設備投資の見直し,(2)海外事業の撤退の検討,(3)不採算事業の見直し,などを挙げる。

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